N.ハリウッド コンパイル(N.HOOLYWOOD COMPILE)の2025-26年秋冬コレクションを紹介。
デザイナーの尾花大輔はクリエーションにあたり、イギリスへと旅に出た。旅の中で出会ったのは、これまで馴染みのなかった英国の古着文化。トラディショナルなアイテムに独自のリメイクを施したヴィンテージウェアから、「完成されたものを壊し、再構築することで新たな価値観を創造する」という今季のヒントを得たという。
目を惹くのは、英国らしさを引き出す多彩なチェック柄。リバーシブルで着用できるタータンチェックのハリントンジャケットをはじめ、ブルーストライプにネイビーのリボンを走らせたチェックシャツ、ジョガーシルエットの千鳥格子パンツなどが登場し、全体にブリティッシュトラッドな風を吹かせた。格子の大きさが異なるチェック柄を組み合わせた、遊び心満載のセットアップも印象的だ。
“ドレスウェアをイージーウェアに編集する”というN.ハリウッド コンパイルのコンセプトは、ラフなアレンジを加えたテーラリングに見て取れる。ジャケットやロングコートはアームホールをやや広めにとり、ショルダーをドロップさせることで自然な抜け感を演出。プレスラインの入ったスーツ地のパンツは、丈を短めに設定し、ウエストをゴム仕様にすることでリラクシングな着心地を追求した。
ディテールには、英国古着から着想を得た“リメイク”の精神が宿っている。クラシカルなステンカラーコートは、裾や袖をあえて切りっぱなしにアレンジ。ブルーのギンガムチェックシャツは、異素材切り替えによるクラフト感が魅力だ。
伝統ある英国ヴィンテージにリスペクトを払いつつ、随所に機能性素材を差し込んでいるのもポイント。パステルマーブル模様の超軽量ダウンや、光沢感のあるナイロン素材のブルゾン、ドローコードで裾を絞れるパンツなどが、現代的なストリートのエッセンスをもたらしている。
カラーパレットは、イギリスの芸術や街並みにインスパイア。グレー、チャコール、ベージュ、ネイビーなど、スーツにも用いられるシックなカラーをベースに、オレンジやレッド、グリーンといった差し色で緩急をつけた。アクセントカラーはややトーンを落とし、秋冬らしい深みを持たせている。