MSGM(エムエスジーエム)の2025-26年秋冬メンズコレクションが発表された。テーマは「ウサギを追え(Follow the Rabbit)」。
今季のMSGMは、ウサギがシンボルとなっている作品が着想源。思春期の反抗と、徐々に現実から切り離されていく様子を描いた映画『ドニー・ダーコ』の不穏な世界、ドキュメンタリータッチで社会的崩壊というテーマを描き出した『ガンモ』の生々しさ、「不思議の国のアリス」にて夢幻的なシンボルとして登場する白ウサギに目を向けた。
これまで見たことのない不思議な世界観の作品と出会った時、それをどうにか理解しようとのめり込むうちに、現実との境界線が曖昧になることがある。それを示すように、ボリューミーなアウターを通して身体との接地部分を曖昧にさせるルックが見られる。ボリューミーなレオパード柄のアウターにベーシックなシャツとハーフパンツを合わせ、絶妙にバランス感覚を崩した。
今シーズンにおけるテーラリングでは、サイケデリックやパンクをモチーフに、上品さに留まらないスタイルを提案。端正なテーラードジャケットは、シワ加工を施したシャツやパンツを合わせることで、揺らぎをプラス。また、白ウサギを大胆にデザインしたシャツには、サイケデリックな色彩感覚を取り入れている。
未知の世界であるおとぎ話の森の中に迷い込むように、ウサギを主役としたファンタジックなデザインを随所に散りばめているのも特徴的。「不思議の国のアリス」の白ウサギと赤いきのこを描き出したニットやカーディガン、きのことボーダーを組み合わせたニットベストなどが登場する。
中には、ウサギのイラストが描かれたテディベアのような質感のシェルパ・ジャカードも。遠くから見るとアニマル柄のようにみえるのがポイントで、視覚的な曖昧さを生み出した。
カラーパレットは、穏やかさと軽やかさを持つライトブルーやベージュ、イエローといったソフトシェードと、鮮やかなオレンジやレッドなどエネルギッシュなシェードが混在。シンプルなブラックやブラウンといったシェードも織り交ぜ、よりカラーコントラストを際立たせた。