複雑な家庭環境で育ちながらも、祖母の期待に応えて教師になるという夢を叶えた真唯子。彼女の教え子・章子のもとにある日、一通の手紙が届く。差出人はーー「20年後のわたし」。半信半疑のまま返事を書くことで、父を亡くした悲しみや、心を閉ざした母との孤独な日々に耐えていた章子だが、母の新しい恋人からの暴力、壮絶ないじめ、そして信じがたい事実が彼女を容赦なく追い詰めていく。深い絶望の中、章子は唯一心を通わせる友人・亜里沙と「親を殺す」という禁断の計画を立てるのだった。そんな章子を救おうと真唯子は、残酷な現実と社会の理不尽さに押しつぶされそうになりながら、それでも手を差し伸べようとするがーー。誰もが過酷な運命に吞み込まれようとする中で、「未来のわたし」からの手紙が導くのは、希望か。それとも、さらなる絶望かーー。

湊かなえによるミステリー小説「未来」が実写映画化。ファンたちに集大成とも称された作品だ。作中では、7人にひとりの子どもが貧困状態にあると言われている今の日本において、ネグレクト、ヤングケアラー、性暴力などに苦しむ子どもたちの"見えない声”にフォーカス。社会の片隅で押し殺されてきた現実を、スリリングで切実な物語として映し出した。複雑な家庭環境で育ちながらも、教師になる夢を叶えた主人公・真唯子を黒島結菜、真唯子の教え子で、"20年後のわたし”から一通の手紙が届く章子を山﨑七海が演じる。監督は、『ラーゲリより愛を込めて』『護られなかった者たちへ』などの瀬々敬久。社会の現実と人間の情を深く見つめ続けてきた名匠が、湊かなえが描く“罪と希望の物語”に新たな息を吹きこむ。