主演・稲垣吾郎の新作舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』の上演が決定。2021年4月23日(金)の東京公演を皮切りに、東京・大阪・福岡の3都市で上演される。
2021年1月に上演された『No.9―不滅の旋律―』で、自身3度目となるベートーヴェン役を熱演した稲垣吾郎。同作に続く主演舞台として選んだ本作で稲垣が演じるのは、激動のフランス革命期を生きた“死刑執行人”シャルル=アンリ・サンソンだ。
18世紀のフランス・パリに実在した“死刑執行人”シャルル=アンリ・サンソン。その役割によって世間から忌み嫌われていたサンソンだったが、実際は熱心なカトリック教徒、そして医者でもあり、「人間の生死を決められるのは神だけではないのか」「死刑制度はなくさなければならない」と自問自答を重ねていた。身分の違いで処刑の仕方が異なっていた当時、「誰にでも平等に苦痛を感じさせない死を」という想いからギロチン(断頭台)の発明にも一役買ったサンソンは、世界で2番目に多い総計約3,000名もの死刑を執行している。
人の命を断つという自らの職務を全うしながらも、内心は完全なる死刑廃止論者である、という悲劇的な矛盾を抱えていたサンソン。本作では、冷静沈着さの奥底で、人間の存在の生死にまつわる様々な葛藤を抱えながら、ロベスピエール、マリー・アントワネット、ルイ16世らの首をはねた孤高の男の物語を描く。
フランス革命の中心とも言うべきルイ16世を演じるのは、歌舞伎界を代表する若手の一人として、歌舞伎以外の舞台作品も積極的参加している中村橋之助。その他、チェンバロ職人トビアス役の橋本淳、蹄鉄工の息子ジャン・ルイ役の牧島輝、その恋人エレーヌ役の清水葉月、若きナポレオン役の落合モトキ、後に革命家となるサン=ジュスト役の藤原季節らが、サンソンを取り囲む魅力的な人物たちを演じる。
クリエイティブチームには、運命の奔流に飲み込まれていくヒロインを描き出した舞台『ジャンヌ・ダルク』(2010初演)、主演・稲垣吾郎で楽聖ベートーヴェンの半生を描いた『No.9―不滅の旋律―』(2015年初演)に続いて、演出・白井晃×脚本・中島かずき×音楽・三宅純のトリオが再集結する。
1766年、フランス。その日、パリの高等法院法廷に一人の男が立っていた。彼の名はシャルル=アンリ・サンソン(稲垣吾郎)。パリで唯一の死刑執行人であり、国の裁きの代行者として“ムッシュー・ド・パリ”と呼ばれる誇り高い男だ。パリで最も忌むべき死刑執行人と知らずに、騙されて一緒に食事をしたと、さる貴婦人から訴えられた裁判で、シャルルは処刑人という職業の重要性と意義を、自らの誇りを懸けて裁判長や判事、聴衆に説き、弁護人もつかずたった一人で裁判の勝利を手にする。このときには父・バチスト(榎木孝明)も処刑人の名誉を守ったと勝利を祝う。
だが、ルイ15世の死とルイ16世(中村橋之助)の即位により、フランスは大きく揺れはじめ、シャルルの前には次々と罪人が送り込まれてくる。将軍、貴族、平民。日々鬱憤を募らせる大衆にとって、処刑見物は、庶民の娯楽でもあった。己の内に慈悲の精神を持つシャルルは、処刑の残虐性と罪を裁く職務の間で、自身の仕事の在り方に疑問を募らせていく。
そこに、蹄鉄工の息子ジャン・ルイ(牧島 輝)による父親殺し事件が起こる。実際は彼の恋人エレーヌ(清水葉月)への、父親の横恋慕がもつれた事故なのだが。彼を助けるべく友人たち、チェンバロ職人のトビアス(橋本 淳)、後に革命家となるサン=ジュスト(藤原季節)らが動き、シャルルはそこでさらに、この国の法律と罰則について深く考えることになる。さらに若きナポレオン(落合モトキ)、医師のギヨタン(田山涼成)ら時代を動かす人々と出会い、心揺さぶられるシャルルがたどり着く境地とは......。
『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』
[東京公演]2021年4月23日(金)〜5月9日(日) 東京建物 Brillia HALL
※4/28~5/9の公演は中止
[大阪公演]2021年5月21日(金)〜5月24日(月) オリックス劇場
[福岡公演]2021年6月11日(金)〜6月13日(日) 久留米シティプラザ
出演:稲垣吾郎、中村橋之助、橋本 淳、牧島 輝、落合モトキ、藤原季節、清水葉月、智順、藤田秀世、有川マコト、松澤一之、田山涼成、榎木孝明
演出:白井 晃
脚本:中島かずき(劇団☆新感線)
音楽:三宅 純
原作:安達正勝『死刑執行人サンソン』(集英社新書刊)