展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」が、東京・六本木の森美術館にて、2021年4月22日(木)から9月26日(日)まで開催される。
フェミニズムなどに見るように、ジェンダー、人種、民族、信条といったさまざまなアイデンティティの不均衡を批判し、多様なあり方を尊重する動きは、近年ますます広がっている。そして現代アートにおいても、戦後動乱期の1950年代から1970年代にキャリアをスタートし、今日に至るまで活動を続けてきた女性アーティストに注目が集まっている。
「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」は、世界各地で創作活動を続ける70代以上の女性アーティスト16名を取り上げる展覧会だ。半世紀以上におよぶそのキャリアを、それぞれの初期作から代表作、そして本展のための最新作まで、多角的に紹介する。
本展に参加するアーティストの出身地は、エジプト、インド、韓国、アメリカ、日本など14か国に及び、現在の活動拠点、そして表現方法も多岐にわたる。
スイスに生まれたミリアム・カーンは、1970年代に反核運動などの社会的動向に影響されて、アーティストとしての活動をスタート。ユダヤ人女性である自身のアイデンティティ、差別や暴力といった社会問題、そして戦争などの問題意識のもと、木炭のドローイングや色彩豊かな油彩を手掛けている。
また、ブラジルを代表するアーティストのひとり、アンナ・ベラ・ガイゲルは、1960年代ブラジルの政治的混乱のなか、ポーランド系移民として西洋近代を経験した。彼女は社会参画と実験的な手法を軸に据えるその創作を通して、政治的に引かれる国境やアイデンティティの問題を再考し続けているのだ。
さらに、コミュニティとの対話などによって社会的な価値観の変革を促す“ソーシャリ―・ エンゲージド・アート”の先駆者であるとともに、教育者、著述家としても活躍するスザンヌ・レイシーも参加するように、参加アーティストはその表現や生き方に至るまでさまざまだ。本展では、そのように多様な実践から、フェミニズム、世界で生じる問題、そして従来の美術史のさまざまな解釈などにふれることができるだろう。
展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人」
会期:2021年4月22日(木)〜9月26日(日) 会期中無休
※当初は2020年10月1日(木)~2021年1月3日(日)の会期を予定していたが変更
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
開館時間:10:00〜22:00(火曜日のみ17:00まで)
※5月4日(火)は22:00まで
※入館は閉館30分前まで
※入館料は決まり次第告知
■出展アーティスト(姓のアルファベット順)
エテル・アドナン、フィリダ・バーロウ、アンナ・ボギギアン、ミリアム・カーン、リリ・デュジュリー、アンナ・ベラ・ガイゲル、ベアトリス・ゴンザレス、カルメン・ヘレラ、キム・スンギ、スザンヌ・レイシー、三島喜美代、宮本和子、センガ・ネングディ、ヌヌンWS、アルピタ・シン、ロビン・ホワイト
【問い合わせ先】
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