クリエイターとアーティストが集うクリエイティブチーム、エンハーモニック(Enharmonic)が展開するブランド、エンハーモニック タヴァーン(Enharmonic TAVERN)の2012-13年秋冬コレクションが2012年4月5日(木)に東京・渋谷にて発表された。タイトルは「フィルモア ハイプ(Filmore Hype)」。
タイトルの由来となったのはニック・ロウ率いる英国バンド、"ブリンズリー シュウォーツ(Brinsley Schwarz)"がニューヨークのフィルモアで起こした大失敗劇。人気バンドへのし上がるためのきっかけとなるはずだったライブは、幾多のトラブルに加え、バンドの未熟さゆえ酷評されて終わってしまう。そして残った多額の負債の返済のため、彼らはパブでのドサまわりライブを行った。このとき生まれたのが1970~1980年代の「パブ ロック」よ言われるジャンルだ。今季は、この「フィルモア ファイブ」に掛けて現代の合理化された商業主義に対してのアンチテーゼを表現した。
男たちがパブでビールとたばこを片手に談笑している映像が流れてショーがスタート。その映像から抜け出してきた彼らが観客の前に現れるというユニークな演出で展開された。クラシックなスーツスタイルをカジュアルに着崩したレイヤードスタイルが今季のメイン。パンツをロールアップして赤のソックスを見せたり、ロールアップしたデニムの上にウールのショートパンツをレイヤードしたりするアイディアが印象的だ。
チェックのシャツの上にジャケット、そしてその上にベストを重ねるなど、自由なコーディネートがそれぞれの個性を力強く表しているかのよう。またアイウエアや缶バッジなどの小物で反逆的な印象も加わり、オールバックやリーゼントなどロックなヘアスタイルがコレクションをより一層引き立てた。逆境の中でも自らの行動を通して前向きに進んでいこうというひたむきな人間の姿に思いを馳せたコレクションだ。