ヨシオクボ(yoshio kubo)の2017年春夏コレクションが2016年7月20日(水)、東京・外苑前の秩父宮ラグビー場で発表。昨シーズンまでは、東京コレクションの公式スケジュールでショーを行っていたが、今季は、パリのメンズコレクションが終わって間もない時期にオフスケジュールでの開催となった。
ブランドとしては珍しく、テーマを設定し臨んだ今シーズン。「科学的」「人工的」といった着想源から派生されるメッセージをワードローブに散りばめ、変化に富んだコレクションを発表した。
基本的なカラーパレットは、ブラックやネイビー、ホワイト。ベーシックでシンプルな配色や着こなしがゆえに、予想外のディテールやプリント、挿し色がより際立った存在感を発揮した。
ファーストルックを飾ったのは、袖がナイロン素材に切り替えられたネイビーのボンバージャケットと着丈の長いメッシュのノースリーブカットソーをレイヤードし、色・シルエット両方でコントラストをつけたルック。そこからしばらく落ち着いた色味が続いたかと思えば、突然工業的なタワーがプリントされたオレンジのブルゾンが現れ、観衆の目を奪っていた。
その後も、シルバーや蛍光イエロー、ゴールドを印象的に用い、抑揚のあるショーを披露。しかしコレクションにパワーをプラスしているのは、単に色やテキスタイルだけではない。
背中の首から裾までジッパーが取り付けられたカットソーや、細身ながらサルエルのようなディテールを落とし込んだデニムパンツ、胸と裾近くにリングを取り付け、斜めにスカーフをかけられるシャツ、二重になったようなパンツ……。
手の込んだデザインは、目を凝らすほどに現れ、客席から身を乗り出して近づいてしまうほどに繊細。その繊細さと大胆な色使いが、“ベーシック”や“シンプル”といったフィールドの上で輝くことで、今シーズンのヨシオクボが完成された。