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フラメンコ界の女王マリア・パヘス来日公演『私が、カルメン』 - 理想の女性を求め、情熱的に舞う

フラメンコ界の女王マリア・パヘス来日公演『私が、カルメン』 - 理想の女性を求め、情熱的に舞う | 写真
(c)David Ruano

フラメンコ界の女王マリア・パヘスが、再び日本へ帰ってくる。2015年4月24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間、東京・渋谷にあるBunkamuraオーチャードホールにて「マリア・パヘス舞踊団 日本公演2015『Yo,Carmen―私が、カルメンー』が開催される。

フラメンコとは、歌、踊り、ギターを組み合わせた、スペイン南部のアンダルシア地方で発祥した芸能。当初は、個人宅を中心に上演されていたが、公演を行う飲食店が出現し、劇場やフェスティバルなど大きな場でも披露されるようになった。その発展には、スペインジプシーが大きく関与しているといわれ、いまもなお、人々の生活に寄り添いながら、継承され続けている。

フラメンコの聖地・セビリアに生まれたマリアは、4歳からフラメンコとスペイン舞踊を学び、15歳でプロデビュー。伝統舞踊であるフラメンコを、現代的なパフォーミング・アートへと転換させた、アントニオ・ガデス舞踊団で経験を積む。その後は、自身の舞踊団を立ち上げ、瞬く間にスターダンサーへと登りつめた。近年では、国立バレエ団の振付や映画出演など、活躍の場を広げ、その魅力を積極的に伝えている。

2年ぶりに日本で公演を行うマリア・パヘス舞踊団。彼女たちが選んだ作品は、19世紀半ばのスペイン・セビリアを舞台にした、男と女の愛憎劇『カルメン』だ。ヒロインのカルメンは、類まれな美貌と自由奔放な精神から、取り巻く男性を次々と翻弄していく。その姿はまさに“ファム・ファタール=理想の女性像”そのもの。男性作家のプロスペル・メリメが描いた、挑発的で魅惑的、不思議と心を掴まれてしまうカルメン像は“イコール(=)スペイン女性”というイメージへとリンクさせるほど、世界中に大きな影響を与える。

今回、ファッションプレスは日本公演を控えたマリア・パヘスに、インタビューを実施。公演に向けた思いや制作過程、さらには、踊りを通して伝えたいメッセージについて尋ねた。

いま「カルメン」を選択した理由

数々の舞踊家たちがチャレンジした『カルメン』。これまで何度もオファーがあったようですが、なぜ、いま本作を選んだのでしょうか。

フラメンコ界の女王マリア・パヘス来日公演『私が、カルメン』 - 理想の女性を求め、情熱的に舞う | 写真

随分と前から『カルメン』については、自分の中でもやりたいなという思いはあって、頭を巡らせていたところでした。人生経験を積んで、客観的に色々と眺めたり、またやるべきだろうと思ったり。自分の中で準備ができた、このタイミングだと思って、取り上げました。

ダンサーとしてだけでなく、妻として、母として経験を積んでいらっしゃいますが、そのなかで、心を決めるような大きな変化があったのですか。

個人的な人生について、ここ数年、より安定したと感じていることは事実です。でも個人的なものではなくて、もっと別のタイプの感情。というのは、女性全般に対してあてはまる感情のことです。女性は『カルメン』の中で“ファム・ファタール”という形で描かれていますけれど、それだけではなく、色んな側面があるように思います。光と影、不安。それぞれ強い意志を持っていることとか。そういった感情について、考えを重ねてきました。

女性から見た“カルメン”へのアプローチ

原作から、自身の作品へと昇華するため、どのような準備をしましたか。

創り上げられたイメージを打ち破るということは、難しい作業で、大きな責任を負うことになると感じました。私が挑んだのは、物語をなぞるようなものではなく、つまり、従来のカルメンとは対局にあるような…。

「ジョーカルメン(Yo,Carmen)」とは「私がカルメン」という意味なんですが、その“私”というのは、個人ではなく、女性たちみんなと捉えています。そのためには、やはり女性としての経験が必要で。

女性としての経験とは、どのようなものでしょうか。

女性たちを知り、対峙し、比較し、共有し、最終的に女性の声というものは何だろうかということに、思考を巡らすということです。

具体的には、どのような活動をされたのですか。

フラメンコ界の女王マリア・パヘス来日公演『私が、カルメン』 - 理想の女性を求め、情熱的に舞う | 写真
マリア・パヘス

ここ2年間、いろんな女性たちのインタビューを重ねまして、女性たちを知り、同時に我が身自身を知るいうことを繰り返してきました。文化大臣を務めていたような輝かしい経歴を持っている方、企業家として成功している方、虐待を受けて苦しんでいる方、不平等を受けている困っている方。中には、ナイジェリアの方で、性的な暴力を受けて逃げてきたという人もいました。

そのなかで、印象に残るエピソードはありますか。

輝かしい経歴の方でも、その地位に至るまで、男性よりも“自分はできるんだ”と能力を示さなければ、のぼりつめることはできなかった。同じことでも、男性以上にプレッシャーを感じていなければならないのかもしれません。本当に優秀で、すごいなと思わせないことには、なかなか男性と同じ地位にまで辿りつくことはできないと感じました。

インタビューを重ねて、今回の公演で、どのようなメッセージを伝えたいですか。

なんで未だに、男女の平等は成立しないのか。それはどこからくるのかとうことを自分なりに調べて、問い詰めて。どういう形ならば女性たちは、権利を求められるのか、取り戻せるのかということを考えました。特に声を持たない女性たちの声を、自分の演技を通じて、表現していければと思いました。

女性の自由を心から願い、自身の思いを届けるために、情熱的に舞う。彼女が見つけた、女性の生きる術。それは大胆でアグレッシブなパフォーマンスに、体現されているようだ。

本公演は、ロエベ(LOEWE)財団がサポートしている。マリアは、ブランド創立者の後継者エンリケ・ロエベと古くから親交があり、ロエベのクリエーションと、自身の創作活動に共通点を見出していた。それは、伝統を尊重しながらも、進化し続けるアティチュード。舞踊という言葉を用いて、いまの世界を映し出しいく。そんな彼女が、“現代を示す表現方法”と呼ぶフラメンコ、新時代の「カルメン」を体感してみてはいかがだろう。

【イベント詳細】
マリア・パヘス舞踊団 日本公演2015「Yo,Carmen―私が、カルメンー」
開催日程:
2015年4月24日(金) 19:00、25日(土) 15:00、26日(日) 14:00
会場:Bunkamuraオーチャードホール
住所:東京都渋谷区道玄坂2丁目24-1
TEL:03-3477-9999
料金:S席 12,000円、A席 10,000円、B席 8,000円
※4月28日(火)、29日(祝・水)は、兵庫県立芸術文化センターにて開催予定。

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