サンローラン(Saint Laurent)の2026年春夏コレクションが、2025年9月29日(月)、フランス・パリで発表された。
シャンパンゴールドに輝くエッフェル塔をバックに発表されたサンローランの2026年春夏コレクション。会場には白い紫陽花が咲き誇っており、夜のパリをロマンティックに彩っている。この白い紫陽花は、上から見るとYSLロゴになっており、観客をブランドアイデンティティへと引き込む役割も果たしていた。
今季のサンローランは、アンソニー・ヴァカレロらしい強さとフェミニティの揺らぎが特徴。ハンサムでありながらヒロイン的、センシュアルでありながら快活──素材使いやフォルムのコントラストで、二面性を内包した女性像を提案した。
コレクションはまず、サンローラン・ウーマンの象徴であるアイコニックなレザールックからスタート。パワーショルダーの硬質なレザージャケットやペンシルスカート、バルーンスリーブのバイカーブルゾンで、鎧のような力強さを演出した。
パワフルなブラックレザーに差し込まれるのが、ハリ感のあるホワイトのブラウス。白と黒、最もシンプルなモノトーンの佇まいでサンローランのクラシックを示しつつ、胸元に結んだ大胆なリボンで女性らしい華やかさを添えている。ドロップ型のストーンやビジューをあしらった特大サイズのピアスやネックレスもまた、ヒロインの気品を感じさせる。
アイコニックなレザールックから一転、ショーの中盤からはカラフルなビニール調のピースが次々と登場。サテンのような光沢を放つ薄手の生地は、肩パッド入りのトレンチコートやスタンドカラーコートに用いられ、アウターを軽やかなドレスへと変貌させた。一部のピースは素肌をうっすらと透かし、ほのかにセンシュアリティを滲ませている。
フィナーレに向け、物語は一層ロマンティックなフェーズへ。18世紀のフランス貴族の豪華絢爛な装いを思わせる、ボリューミーで華やかなドレスが提案された。胸元にはたっぷりとフリルを寄せ、スカートはティアード状に。肩周りは、まるで空気をふくんだようにふっくらと膨らんだバルーンスリーブで仕立てている。
上品な光沢感を纏ったテクスチャーはシルクのようにも見えるが、実はすべてテクニカルなナイロン素材。デコラティブでありながら軽さを感じる、新鮮なピースに仕上げた。