ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)の2026年春夏コレクションが、東京ファッションウィーク期間中の2025年9月5日(金)発表された。
今季の着想源は、パウロ・コエーリョの小説「アルケミスト 夢を旅した少年」。主人公である羊飼いの少年が、何度も夢の中に現れるピラミッドの財宝を目指してエジプトへ旅立ち、道中の出会いと別れを経て成長していくという物語だ。デザイナーの岡﨑満は、そこで描かれる少年の純粋さや、ひたむきに夢を追う姿に感銘を受け、「少年の夢」というコレクションテーマを掲げた。
風が吹き荒れるような音の中登場したファーストルックは、丸くくり抜いた穴を金具と布で塞いだようなディテールで埋め尽くされたセットアップ。Tシャツやストライプシャツなど、コレクションの随所に見られるこのデザインは、大きな困難に直面して夢を諦めかけた少年の心の穴が塞がり、再び旅へ踏み出す場面をイメージしている。
アイキャッチなのは、ラクダの写真をコラージュしたようなチェックシャツや、ラクダモチーフの刺繍を施したスカジャン。旅の道中で少年が出会うラクダをイメージしたという。浮かび上がるようにラクダが並ぶ非現実的な姿は、眠っているときや空想としての“夢”の光景にも見える。
また、少年のイメージを重ねたという安全ピンは、シャツのボタンやネックカバーに大胆に配した。全面に短いジッパーをあしらったテーラードジャケットやパンツ、スナップボタンの凹凸をランダムに襟に縫い付けたベストも印象的。パンクテイストを思わせる金具使いは、無垢さの奥に潜む強さを際立たせているかのようだ。
襟元のスタイリングも目を引く。つけ襟はあえて正面の位置をずらし、ジャケットコートは襟の片側だけを立てて、吹きつける風に煽られているかのように演出。また、小さな襟に緩めた幅広のネクタイを合わせたり、スカジャンにネクタイを組み合わせたりと、型にとらわれない自由なルックが散見される。