ところで、ミューラルにとってオリジナルの素材作りは、コレクション製作の根幹にある。生地にテーマを乗せて、その生地がメッセージを最大限に体現できるようにすること——そのように「詩的」な素材作りが好きだということを、最近いっそう強く感じているという。ミューラルのコレクションはこの意味で、素材が起点にある。こうしたなか、エンブクロスのドレスでは、素材とデザインの発想が、「纏う」というテーマのもとで一挙に現れた。それは、デザイナー自身にとっても新鮮な経験であったようだ。
エンブクロスの製作は、ファブリックの断片を手で寝かせてゆくというように、約7割の工程に人の手が介する。その意味でエンブクロスとは、「手で仕上げる」素材の最たる例だ。そこで何よりも大切なのが、感覚である。それは時間をかけて、経験によってのみ培われるものだろう。それだけに多量に作ることは難しくとも、こうしたアナログなテキスタイルが、ファッションはより豊かに育まれるのではなかろうか——今季のエンブクロスには、素材の手触りと温もりを未来へと繋ぐ、ミューラルの思いが込められているのだ。
水面に散り敷く「花の絨毯」をイメージし、奥行きのある表情に仕上げた、ミューラルのエンブクロス。今季はそんなエンブクロスを用いて、ドレスやスカート、トップスを展開している。
花々を思わせるエンブクロスを全面に採用したドレスは、優雅にドレープを織りなす、アシンメトリックなスカートラインに。また、トレンチコートに着想したディテールを取り入れ、エポーレット状のケープやギャザーを織りなすベルトを施した。ケープ部分は、ボタンにより開閉が可能なため、異なる表情で着用することができる。
スカートは、ボリューム感のあるフレアシルエット。ウエスト周りには、トレンチコートをイメージした切り替えを施し、取り外しによって着こなしに変化をつけられるショルダーストラップを組み合わせた。
起毛感のあるトップスは、袖先にエンブクロスを覗かせることで、さりげないアクセントをプラス。素材には、ランダムな光沢感をまとったクラッシュベロアを採用することで、ほどよくカジュアルな雰囲気にまとめた。カラーは、レッドとグレーの2色展開だ。
ミューラル「エンブクロス」新作ウェア
発売日:2025年8月7日(木)
展開アイテム:
・Petals carpet embroidered dress 253,000円
取扱店舗:サロン ド ミューラル 南青山
カラー:レッド
※2025年8月7日(木)から29日(金)まで、サロン ド ミューラル 南青山での受注限定。デリバリーは11月頃を予定
・Petals carpet embroidered skirt 99,000円
取扱店舗:サロン ド ミューラル 南青山、ラディカ、ミューラル 公式オンラインストア
カラー:レッド
・Petals carpet embroidered tops 22,000円
取扱店舗:サロン ド ミューラル 南青山、ラディカ、ミューラル 公式オンラインストア
カラー:レッド、グレー