Y-3(ワイスリー)は、2026年春夏ウィメンズ&メンズコレクションをフランス・パリで発表した。
ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)とアディダス(adidas)のタッグによりクリエーションを続けるY-3は、“ファッションとスポーツ”、この2つの要素を対比させ、融合させてきた。
今季はアディダスが1990年代初期に発表した「エキップメント」を再解釈。「エキップメント」がパフォーマンスに特化し、シンプルに削ぎ落したスタイルを追求したコレクションであったのに対し、Y-3 2026年春夏コレクションではY-3独自の視点、つまり“ファッションとスポーツの融合”を意図する視点から、コレクションを再構築している。
Y-3が描き出すのは、人の動きをサポートする機能性と、表情豊かな素材、美しいシルエットを融合させたウェア。クラシックな服飾の仕立てとスポーツウェアという、異なる文脈にある2つのコードを、人間の動きや身体の変容を通して繋ぎ合わせ、その隔たりを埋めていこうとする試みが見て取れる。発表の場となったプレゼンテーション会場では、ダンスパフォーマンスという力強い身体表現によって、Y-3の美学を浮き彫りにした。
印象的なのは、素早く、パワフルに動いたり、突飛なポーズを取ったりしても身体にしなやかに添うシルエット。シャツやジャケット、ワンピース、スカートは身体の動きと連動するかのように躍動しては、流れるようなドレープとともにまた身体の傍へと戻っていく。思い切り腕を上げてもその動きが制限されない袖の仕立て、歩を進める度に軽やかに揺れ動くワイドパンツやスカートのフォルムが目を引いた。
装いの身軽さには、パターンメイキングはもちろん、素材使いも一役買っている。新素材のサマービスコースやシワ感のあるビスコースなど、落ち感のあるテキスタイルがシャツや、分量感のあるジャンプスーツなどに採用された。また、染料に布地を浸して染める、ディップダイによる鮮やかなグラデーションも生地の軽快さを後押ししている。
シューズは、ランニングシューズ「RC6」をアシンメトリーなシューレースシステムと断ち切りの仕上げでアレンジ。また、アイコンスニーカー「スタンスミス」はバレエシューズを思わせる、履き口の浅いアッパーに仕上げた。
なお、5点から成るカプセルコレクション「5 for 5」も2026年春夏コレクションと同時に発表。「5番」を背番号に持つジネディーヌ・ジダン、ジュード・ベリンガム、ギャレット・ウィルソン、アンソニー・エドワーズといったアスリートに敬意を表したウェアや、デザイナー山本耀司の名前を冠したベースボールシャツなどがピンストライプの生地で提案されている。
ベースボールウェアとメンズスーツの共通項であるピンストライプを採用することで、スポーツとファッションが交差する様を象徴的に表現した。