ターク(TAAKK)は、2026年春夏メンズコレクションを2025年6月29日(木)に発表した。
デザイナーの森川拓野が追求したのは、クリエーションの本質。タークのものづくりの基盤を自ら深く掘り下げていき、その根本と向き合うことが今季の出発点となった。
加工や刺繍、テキスタイルなど、ターク独自の世界観を構成する1つ1つの要素を職人たちとも連携しながら見つめ直し、表現の深度を深めていった。本質を求めた先に見えてくる、創造の新たな境地を目指す試みだ。
特に、生き生きとした刺繍が装いに躍動感をもたらしている。テープを細やかに刺繍し、立体感のあるモチーフを表現したピースが目を引いた。ストライプシャツには可憐な花の模様を配し、テーラードジャケットには大きなペイズリー柄を装飾。幾何学模様を配したターコイズブルーのブルゾンや、背面に鳥が羽ばたく様子を描き出したブロンズカラーのカバーオールも登場している。
技巧を凝らした、華やかな素材にも注目だ。網目状にテープが連なる彫刻的なブルゾンやショートパンツをはじめ、浮かび上がるようなレース模様を配したオーガンザ、擦れたような色味が退廃的な印象のジャカードなど、風合い豊かな素材が登場している。鮮やかなグリーンを基調としたプリントのコートは、生地の透け感と光沢も相まって繊細な表情を見せ、手描き風の模様を配したオンブレチェック地のパンツは、部分的に褪色させることで抽象度を強めている。
タークの服は“アートピースと日常着の境界”にある、と森川が話すように、タークの服は普遍的な佇まいでありながらも、意識に揺さぶりをかけるような違和感を備えている。その象徴として挙げられるのが、異なる2つのアイテムが緩やかに融合されたウェアだ。今季は、徐々にシャツからテーラードジャケットへと変化していくピースが登場している。
幻想的なグラデーションのように、途中で入り混じりながらも移り変わっていくシャツとテーラードジャケット。着こなしにおけるその役割も曖昧に揺らいでおり、シャツの上から羽織ればジャケットになるかと言われればそうではなく、ネクタイを締めればシャツとして機能するわけでもない。見慣れたはずのシャツとジャケットを、ミステリアスな形で提示している。