サンローラン(Saint Laurent)は、2026年夏メンズコレクションをフランス・パリで発表した。
「繊細なセンシュアリティ」を追求する今シーズン。1970年代のファイアー・アイランドが着想源となっており、ロマンスの楽園に逃避して秘められた欲望をさらけ出す時、もしくは覆い隠す時の儚い一瞬のを投影している。リゾートの開放感を感じさせながらも、神秘的で、静かな佇まいが輪郭のないエレガンスを浮かび上がらせる。
ジャケットやシャツはパターンメイキングによって肩を強調したパワーショルダーに仕上げ、彫刻的なシルエットに。ボトムスには、タックを施したワイドパンツやドレープ感のある緩やかなパンツ、そしてかつて若き日のイヴ・サンローランが着用していたものを連想させる短い丈のショートタックパンツが登場している。
また、ウエストをシェイプすることで緩急をつけ、フォルムを強調しているのもポイント。シャツやニットなどトップスは裾をタックインしているほか、コートはウエストベルトをぎゅっと結ぶことで端正なシルエットを描き出している。
ディテールから感じられるのは、気負いのない、軽快さ。ウエストベルトをあえて低めの位置に配したパンツは、ウエストを折り返して着崩しを楽しめる仕様に。また、トラウザーズの裾はあえてラフに折り返してステッチを施しており、上品な佇まいに抜け感をプラスしている。
落ち着いた雰囲気を生み出しているのは、スモーキーなカラー。ペールトーンのグリーンカラーや澄んだミントグリーンのシャツ、サンドベージュのセットアップ、温かみのあるマスタードイエローのコート、陽の光を受けてゆらめくプールの色を思わせるブルーのニットシャツなどが揃う。深みのあるパープルやブリックブラウン、ブルー、カーキなど、上下のアイテムを同じ色で揃えたルックも散見された。
細かいシワ感の残るシルクのパンツやシャツをはじめ、繊細な表情の素材も目を引く。上品な光沢を備えたシルクのシャツは身体のラインをなぞるようにして柔らかく寄り添い、ナイロンのシャツはその乾いたテクスチャーと透け感が、リラクシングな空気感を演出している。また、パイピングを施したストライプシャツや、ドット柄を配したタイブラウスにもシアーな素材が用いられている。