新ラグジュアリーホテル「帝国ホテル 京都」が、京都・祇園に2026年春にオープンする。
「帝国ホテル 京都」は、国の登録有形文化財および京都市の歴史的風致形成建造物に指定されている「弥栄会館(やさかかいかん)」の一部を保存活用し、新たに誕生するホテルだ。
「弥栄会館」は、花街文化の晴れ舞台である祇園甲部歌舞練場に寄り添う形で、木村得三郎設計により約90年前に建てられた。近代的な鉄骨鉄筋コンクリート造の建築ながら、各階の銅板瓦葺き屋根や付庇(つけびさし)、宝形造屋根(ほうぎょうづくりやね)など、城郭の天守を思わせる造形を採用し、和風の意匠を巧みに織り込んでいるのが特徴だ。
「弥栄会館」では人形浄瑠璃の上演をはじめ、映画館やダンスホール、コンサートなどの興行を行い、地域の人々や観光客から親しまれてきた。一方で、建物の老朽化や耐震性の問題により近年では劇場を含む大部分が使用されなくなっており、この度ホテルへと再生することとなった。地域のランドマークとして愛されてきた「弥栄会館」のレガシーは継承しつつ、装い新たに「帝国ホテル 京都」として生まれ変わる。
「帝国ホテル 京都」は東京、上高地、大阪に次いで4軒目の帝国ホテルブランドのホテル。帝国ホテルが新規開業するのは、1996年の「帝国ホテル 大阪」のオープン以来30年ぶりだ。祇園ならではの「非日常」の世界観と「寛ぎ」を提供する。客室の他、レストランやバー、スパ、プール、ジムといった館内施設も充実させる。
「帝国ホテル 京都」は弥栄会館を保存・改築する本棟と敷地内に増築する北棟の2棟で構成。全55室の客室を備えており、客室エリアは眺望の異なる3つのエリアに大きく分けられる。たとえば、本棟南西面に位置する「保存エリア」の客室からは、祇園甲部歌舞練場や花見小路を臨むことができる。さらに、柱や梁、窓枠など随所に弥栄会館時代の名残があり、歴史ある弥栄会館の情緒を感じられる空間が広がっている。
本棟北東面に位置する「改築エリア」の客室は、弥栄会館時代の特徴的なシルエットは踏襲しつつも、モダンな空間に仕上げているのが特徴。夜になると、開放的な窓から夜の提灯の灯りを臨むことができ、祇園ならではの景色を目にすることができる。
「改築エリア」には最上位タイプの客室「インペリアルスイート」も用意。北・東の2面に広がるテラスから祇園・お茶屋の町並みや、祇園甲部歌舞練場本館、東山の山並みを眺めることができる。客室の内装には自然素材を使用し、温かみのある空間に仕上げた。さらに、弥栄会館を象徴する“鐘塔”での特別な体験も提供する予定となっており、特別感のあるステイを楽しめる。
新たに増築される北棟の「北棟増築エリア」にある客室には畳をしつらえ、日本建築や祇園の伝統的な町並みと調和した和の空間を演出。ゆったりとくつろぐことができそうだ。
「弥栄会館」の記憶の継承を行うため、建物のシルエットは増改築を行いつつも保存し、伝統的な和風の意匠に関しても修復や復元、補強を加えながら「帝国ホテル 京都」に受け継いでいく。
たとえば、外観で印象的な銅板瓦葺き屋根は、新たに作りかえ、オリジナルの形状と寸法を忠実に再現。金色から茶色、黒、緑色へと経年変化していくことを見据え、やがては工事前の特徴的な屋根の色になることを想定している。さらに、軒丸の瓦に施された、“歌”の刻印も復元されている。
さらに、目に止まりやすい南西外壁のタイルは剥落防止措置を行いそのまま残した部分と、もともとのタイルを再利用して貼り直した部分を組み合わせて従来の姿を再現。「宝相華(ほうそうげ)」の唐草文様を施したテラコッタのレリーフも、必要に応じて修復を施し再活用される。
【詳細】
帝国ホテル 京都
開業時期:2026年春
所在地:京都府京都市東山区
※宿泊予約は2025年秋(日付未定)より受付開始
敷地面積:3,623.17平方メートル
延床面積:10,804.24平方メートル
階数:地上7階、地下2階
高さ:31.50メートル
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造
施設構成:客室(55室)、レストラン、 バー、ウェルネス施設(スパ、プール、フィットネスジム)
竣工時期:2025年10月
■インペリアルスイート(最上位タイプ)
総面積:193平方メートル(客室 128平方メートル+テラス 65平方メートル)
料金:1泊 3,000,000円(サービス料込み、宿泊税別)
※宿泊時期により料金は変動