鈴木のぞみの個展が箱根・ポーラ美術館で - “物に宿る記憶、光の痕跡”初期〜新作を紹介

神奈川・箱根のポーラ美術館では、鈴木のぞみの展覧会「The Mirror, the Window, and the Telescope」を、2024年6月8日(土)から12月1日(日)まで開催する。

鈴木のぞみ、初個展がポーラ美術館で

鈴木のぞみ《The Rings of Saturn：舷窓—アイリッシュ海》 2020年
北川正人蔵写真：木暮伸也

鈴木のぞみは、写真の原理をもとに、身近な日用品や古い家具に宿る記憶や光の痕跡を可視化するインスタレーションを手がける作家だ。1983年埼玉に生まれた鈴木は、大学時代に絵画を専攻するも、独学で写真技術を学び始めた。2012年には、自身のアトリエであった築90年の古民家に設えられていた、木枠付きの窓ガラスを用いて作品を制作している。

鈴木のぞみ《Other Days, Other Eyes：田中邸2階寝室の窓》 2021年
作家蔵写真：木暮伸也

この作品は、古民家の窓から見えたであろう風景を撮影し、窓ガラス自体に焼き付けたものだ。いわば、邸宅のかつての住人、そして窓そのものが目にしてきた何気ない光景を、窓ガラスにおぼろげなイメージとして浮かび上がらせるものだといえる。このように鈴木は、日常のありふれたものに潜む記憶を、もの自体に直接定着させることを試みてきた。

鈴木のぞみ《The Rings of Saturn：眼鏡—クリスタル・パレス》 2020年
村田真蔵写真：森政俊

また、2019年にイギリスに渡った鈴木は、船の窓、望遠鏡、ルーペといった遺物や視覚にまつわる装置を手に入れ、その来歴を調べている。そしてこれらの品々に、人類の視覚的体験や近代化を切り拓いてきた科学や技術の進歩、ある時代や社会に共有される感覚を反映するイメージを焼き付け、「大衆の記憶」をほのめかすかのような作品を制作した。「The Rings of Saturn」シリーズだ。

鈴木のぞみ《The Rings of Saturn：燭台付き鏡—蝋燭》 2021年
沖一成蔵写真：木暮伸也

美術館での初個展となる展覧会「The Mirror, the Window, and the Telescope」では、窓を用いた最初期の作品から、「2019年のイギリス滞在を契機に制作された「The Rings of Saturn」シリーズまで、新作を含む約20点の作品を紹介する。

展覧会概要

HIRAKU Project Vol.16 鈴木のぞみ「The Mirror, the Window, and the Telescope」
会期：2024年6月8日(土)〜12月1日(日) 会期中無休
会場：ポーラ美術館 1F アトリウムギャラリー
住所：神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
開館時間：9:00〜17:00(入館は16:30まで)
観覧料：無料

■同時開催
企画展「フィリップ・パレーノ：この場所、あの空」
会場：ポーラ美術館展示室1・2・5、屋外

【問い合わせ先】
ポーラ美術館
TEL：TEL 0460-84-2111