日本の伝統的な素材、工芸をコレクションに取り入れ、モダンなコレクションに落とし込んでいるaraisara(アライサラ)の2010S/Sシーズンコレクションテーマは「響」。
2010S/Sコレクションで新たに登場した「墨流し染め」「絽」「紗」「暈かし染め」に加え、前回のコレクションで評判となった「時織」を進化させてコレクションに取り込んだ。2009-2010A/Wに引き続き、デザイナーの「着る人を輝かせたい」という想いが響きわたってくる内容で、伝統、高い職人技術が1つ1つのコレクションに反映されている。
「絽」や「紗」を取り入れたコレクションはもちろん、ガラス職人が手掛けた独特なブルーの色合いのネックレスなどアクセサリーも注目で、軽やかさや涼しげな雰囲気をさらに引き立てている。
【絽と紗】
捩織(もじりおり)で織られる、薄く透き通った織物。絽(ろ)は紗(しゃ)の変形。伝統的に6月及び9月の限られた期間しか楽しむことができない絽と紗を、奥行きのあるデザインに落とし込み、四季を楽しむ日本の心を表現した。軽やかで涼しげな「絽」を取り入れたワンピースは流れる空気、風の音、水の流れが聞こえてきそうで、そこに存在する音の「響き」を感じさせる。
【墨流し染め(すみながしそめ)伝統工芸京友禅】
和紙に雲の模様を表すのが始まりとされ、東洋独特のもので、水をベースに使い偶然性を強く打ち出す点が染めの特徴。 風の音、水の流れ、雲の動き、温度、そして時間さえもその形に影響する「偶然の一致」と言える染め。
実は、この「偶然」をコントロールできる非常に高い技術を持つ職人が日本にいるのだが、araisaraのコレクションでは、そんな高い技術を持つ職人「染・異風-ifu-」の中條氏により染め上げられた布地が使用されている。
【暈かし染め(ぼかしぞめ)】
着物の地染めに使う方法で多色をムラなく淡く暈かし、小紋や長襦袢などに多く用いられる技法。 京友禅では生地が小巾なので刷毛で染めるのが普通だが、今回は広巾の服地を使用した為染料液に浸け、刷毛染めと同じ表現をした初の試み。光が色に変わり、色が響き合い、一刻も止まることのない自然の色彩に変化する。そこには確かに儚く曖昧で消え入りそうな日本の美が存在する。