ジョルジオ アルマーニ50年の歴史、“モードの帝王”アルマーニ自身の言葉と紐解く独自のエレガンス
1970年代に誕生したジョルジオ アルマーニにとっての“アイコン”「アンコンストラクトジャケット」は、独自のエレガンスを体現するものだ。肩パットが入っておらず、裏地も芯地も入っていない。カッティングやボリュームも根本から見直されており、スーツ特有の鎧のような堅苦しさはなく、軽快でソフトなシルエットによって着る人の魅力を引き出す。その特徴的なスタイルは当時のバイヤーたちを熱狂させた。
アルマーニは、「アンコンストラクトジャケット」誕生の経緯を「どの服も皆、堅苦しく、誰が着てもおなじに見えてしまう。着る人の個性を際立たせ、一人ひとりの身体にフィットするものはないかと思ったあげく、ジャケットの「構造」をすべて解体しようと決めたんだ。」と語っている。
“働く人”のためのファッション提案、リチャード・ギアへの衣装提供

かねてから「働く人間のための洋服をデザインするのが好き」とも語っていたアルマーニにとって、大きな舞台で自分らしさを主張しなければならない存在であり、一方で働く人間の1人でもある俳優たちへの衣装提供は非常にやりがいがあった取り組みのひとつだった。

アルマーニにとっての歴史的転機のひとつ、1980年に公開されたアメリカ映画『アメリカン・ジゴロ』への衣装提供がそれを物語る。当時、リチャード・ギアのために製作したスーツは、肩ひじ張らないエレガントなスタイルによって、リチャード・ギアの魅力を存分に引き出した。

これがハリウッドセレブたちの目にとまり、当時まだアメリカでは無名だった「ジョルジオ アルマーニ」の顧客リストに、数々のハリウッドセレブが名を連ね始める。さらにその後は、レッドカーペットでの衣装製作にも携わるようになり、映画の世界とファッションの世界を結び付けた。
彼の功績は、多くのセレブリティが美しく着飾るレッドカーペット文化へと繋がっていく。そしてジョルジオ アルマーニが手掛ける衣装は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞において、数多くの衣装をハリウッドセレブたちに提供され続けている。
“自由なマインド”をもつ「エンポリオ アルマーニ」をスタート

「ジョルジオ アルマーニ」に続く2つ目のブランドとして、1981年に誕生した「エンポリオ アルマーニ」。エンポリオとは、市場(なんでも売っているような大きな市場)の意味をもつ。「ジョルジオ アルマーニ」のエレガンスはそのままに、表現しきれていなかったアルマーニのもっと“自由なマインド”を表に出したブランドだ。

また、マーケティングの分野において先駆的な方法をとったことでも知られ、どこよりも早くブランドの世界観を発信するカタログ『エンポリオ アルマーニ マガジン』を発信した他、ミラノ市内に大きな壁面広告を継続的に展開し、ミラノのシンボルとして認知されたことも有名な話。これによって“アルマーニ”ブランドのエレガンスはより多角的に表現されるようになり、認知度は格段に飛躍した。
エンポリオ アルマーニのトータルライフスタイル提案
アルマーニのエレガンスは、ファッションだけにとどまらず、ライフスタイルに共通するという点で大きな意味を持つ。かつてアルマーニは、「デザイン哲学はファッションだけでなく住空間や食などすべてにおいてリンクするべきだ」と語っている。
その考えにおいても「エンポリオ アルマーニ」の存在は大きかった。「エンポリオ アルマーニ」が展開をスタートした当時のブティックでは、ほかのファッションブランドとは異なり、本やライフスタイルグッズも一緒に並べて“トータルライフスタイル提案”を行っていた。これが現代のセレクトショップの先駆けになったとも言われている。
70歳でスタートした「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」
2005年、アルマーニは新たなチャレンジとして、オートクチュールコレクションにあたる「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVÉ)」をスタートさせている。それまでも、オーダーメイドの洋服作りは行っていたが、定期的にコレクションを発表し、ブランドとして確立したのは70歳を過ぎてからのこと。
エレガンスの最高峰とも言うべき「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」のドレスは、職人たちの技術による賜物であり、まるで夢のように美しく幻想的。時には男性的で厳格。それでいて、着心地には決して妥協していない。
ライフスタイルをトータル提案するアルマーニブランド

2000年以降になると、ライフスタイルを多角的に提案するブランドを続々とスタートさせる。いずれにも共通するのは居心地のいいこと、エレガンスであること、シンプルであること。ファッションと同じアルマーニの哲学が浸透している。
“衣食住”を支えるアルマーニブランドの誕生と歩み

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