遊び心あふれるキュートなデザインが特徴の、ロンドン発のファッションブランド、ル・フラックス(Lu Flux)。日本のメディアでもたびたびフィーチャーされ、原宿のBEAMSやLampなどのショップで取り扱われている。見ているだけで楽しい気分になるデザイン。ユニークなのは、デザインだけではなく、ヴィンテージやオーガニックのみをもちいるという、素材に対するこだわりだ。そこで今回、ひとりの若きデザイナー、ル・フラックス(Lu Flux)の、服づくりにおけるエシカルな取り組みについて注目したい。話をうかがうべく、イーストロンドンにある彼女のスタジオにおとずれた。
若者の音楽やアートの魅力がつまるこのエリアは、伝統的な街並みのロンドン中心エリアとは異なる独特の雰囲気をもつ。ここは新進のアーティストやデザイナーたちがあつまる熱をおびた場所だ。スタジオにたどり着くと、Luは二匹の愛犬とともに出迎えてくれた。デザインスペースに向かうと部屋は大量のヴィンテージの生地でいっぱいだ。棚の上には彼女が集めたであろうレトロなトラベルバッグやテディーベアなどが飾られていた。私たちはイギリスのラジオをBGMに話を始めた。
ヴィンテージをずっと集めていたんです。ずっと夢中になってコレクションしていたら、かなりたくさんになって。ヴィンテージって当たり前だけど、二度と同じものを見つけられないですよね。私はそのユニークさがとても好きです。
そうですね、なかなか難しいかもしれない。誰かが単純に一枚の生地をくれるわけではないから、私の場合、長いプロセスがあるんです。たとえば20着のドレスをつくるとき、まず生地を探して、それを自分で仕入れて、洗って、すみずみまでダメージがないか確認して・・・。服をつくり始める前から長いプロセスがあります。でも、私はそのプロセスが大好きなんです。生地をあつめて、その生地の価値をじっくり理解するっていう。
いいえ、一度も!一枚一枚の生地がすべて異なる、それが私の服づくりの美学だと思っています。
もちろん私もヴィンテージ素材を使わないで、服づくりをすることはできます。60ロールの生地を仕入れて、まったく同じ100着の服をつくれば、ファストファッションをはじめとするブランドたちと同じように競えるかもしれません。でも、それは私のスタイルではないんです。服づくりの裏にあるストーリーというか、私好みのユニークさと、私にとって必要不可欠なものが欠けている感じがします。
大量生産は最大のビジネス。カスタマーを相手にするのは大変なこと。生き残るために常に何かを生産しなければならない。
私は自分自身とカスタマーのためにベストを尽くす。そして、消費者に対して何か伝えなければならないと思うんです。個人的には、みんなが思っている以上にそんな多くのモノは必要ではないと感じますね。いずれにしても、競うことはせずに、私のやり方で洋服を作ります。
はい、お客さんからの反応を聞くのは嬉しいです。私の服を着た写真を送ってくれるんだけど、自分でデザインした服を皆が自分なりに着こなしてくれる姿を見るのは、私にとって本当にすばらしいことですね。なぜ私の服を気に入ってくれたか分かります。