エルメス(HERMÈS)は、2021-22年秋冬メンズコレクションを発表した。

相反する2つの要素が交差

オンライン上で発表された今季のエルメスは、フランス・パリのモビリエ・ナショナルを舞台にライブパフォーマンス形式でコレクションを披露した。映像には、開放感あふれるモビリエ・ナショナルの大階段を中心に、光の差し込む建物の内外で親密に言葉を交わし、歩を進めていくモデル達の様子が映し出される。

内側と外側、親密さと公共性、そしてフォーマルとインフォーマルといった、相反する2つの要素を交差させることで、その境界線を曖昧なものにし、新たな方向へと導いていく。既存の枠組みを取り払い、対照的な要素を同時に兼ね備えたクリエーションからは、世界に新たな息吹を吹き込んでいくような快活なエネルギーが見て取れる。

優雅さとリラックスした雰囲気の共存

ノンシャランな雰囲気と優雅さが共存し、肩の力が抜けていながらも凛とした佇まいを見せているのが印象的だ。端正なダークグレーのジャケットには、ボトムスにイージーパンツをセレクトし、スニーカーを合わせることでリラクシングな要素をプラス。シックなグレンチェックのコートに合わせたハーフジップのトップスは、あえて中心からずらした場所にジップを配したアシンメトリーなデザインによって、スタイルに動きをもたらしている。

洗練された色使い

また、ブライトなグリーンやオレンジのチェック柄ジャケット、ライラックのニットやシャツ、抽象的な模様を施したくすみのあるブルーのニット、カーキのレザージャケットなど、ニュアンスを感じさせる色使いが洗練された雰囲気を生み出している。ミントグリーンのトップスにはポケットを複数配したルージュカラーのシアリングジャケットを重ね、ヴィヴィッドなグリーンのシャツにはブルーのニット、クミンカラーのジャケットを組み合わせて、フレッシュな色合わせのスタイルを提示した。

鞍づくりの技巧を活かしたステッチ

鞍づくりの技を駆使した“ピキュール・エトリヴィエール”や“ピキュール・フィラント”のステッチによる、細やかなアクセントにも注目。端正なカーキのコートやブルーのシャツには、ポケットのフラップにあえて重ねるようにしてポケットを縫い付け、ささやかな遊び心をプラス。艶やかなレザーで仕立てたウエスタンシャツやTシャツには、装飾的な幾何学模様の刺繍があしらわれている。

チェック地×カラーレザーのボストンバッグ

バッグはゆったりとしたサイズ感のハンドバッグやボストンバッグが目を引いた。ウォーミングな色味のチェック地をフロントパネルに採用したボストンバッグには、鮮やかなブルーやボルドー、オレンジといったカラーレザーを組み合わせ、プレイフルな印象に仕上げている。