パリファッションウィークで発表されたコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2013年春夏コレクション。テーマは「CRUSH(クラッシュ)」。解体された服のパーツが、つなげられ、重ねられて新しいエネルギーを持ったひとつの服を構成する。
いくつもワンピースがひとつのスカートに生まれ変わり、コートはドレスに。肩はフロントに、襟はウエストに移動して、袖口のフリルはドレスを彩るロマンティックな飾りになった。本来会うことのないはずのパーツたちが出会うことで、見たこともないボリュームとシルエットを生み出している。生成り色の生地は、服の型紙を作る際に使われる、つまり本来私たちが目にすることがないはずのシーチング。切れ端の始末もされず、パーツを重ねた上から粗くミシンをかけただけで構築された服。未完成なものだけが持つ、抗えないピュアな魅力を湛えながらも、完成された美しさがそこに表現されている。
無垢な生成りに始まり、黒、赤やパープル、ブルーが始まり、また生成りの白で終わる。最後のルックでは、パーツがさらに幾重にも積まれて、アンバランスな巨大な塊となって体を覆った。まるで服が人体を離れて、新しい何かが誕生しそうな、そんな期待も感じさせる。このショーで、服そのもののありかたやかたちを探る過程と、その未来まで丸ごと具現化しようとしているのかもしれない。
現代彫刻のようなメタルのヘッドピースはイギリス人アーティストのグラハム・ハドソン(Graham Hudson)、長いプラチナブロンドのヘアと額の白のラインが印象的なヘアメイクはジュリアン・ディス(Julien d'Ys)によるもの。彼らの感性も、ぶつかりあい、服と共鳴し合い、ひとつのスタイルという創造へと昇華された。