マックスマーラ(Max Mara)の2026年春夏コレクションが、2025年9月25日(木)、イタリア・ミラノで発表された。テーマは「ロココ・モダン」。
今季のマックスマーラがミューズに掲げるのは、文化と芸術の女王として18世紀フランスの宮廷を彩ったマダム・ド・ポンパドゥール。貴族の生まれではないものの、才知と美貌によってその影響力を自ら手に入れ、時の政権までも動かした女性だ。芸術愛好家でもあった彼女は、ロココ文化の中心人物としても知られている。
ポンパドゥール夫人の愛したロココ様式とは、貝殻・花・葉・羽根など自然界の要素を取り入れた、ロマンティックで女性的な美術様式のこと。それまで主流であった重厚感のあるバロック様式とは対照的に、繊細で優雅な装飾を特徴とする。
コレクションでは、マックスマーラの洗練されたミニマリズムの中に、伸びやかに広がるロココの曲線美を織り交ぜているのが印象的。厳格なディテールを備えたトレンチコートは、空気を含むようなバルーンスリーブで柔らかいニュアンスをプラス。マイクロミニ丈のスカートには、澄んだ水面に細かく波立つようにしてフリルがあしらわれている。
ロココを象徴する自然界のモチーフもふんだんに盛り込まれている。オーガンザのスカートは、異国の花弁、あるいはイソギンチャクの触手を思わせるカット&フォールドピースで構成。このほかにも、繊細な草花柄を咲かせたロングコートや、フェザーモチーフが揺れるエアリーなケープなどが提案された。
テーラリングは、しなやかなラインによって女性らしくアレンジ。ジャケットはフロントボタンを排し、代わりにブラックのベルトで留めることで前立てを優雅にカービング。スーツ生地をそのまま活かしつつ、ホルダーネックトップや流麗なドレスへと変貌させたピースも登場した。
カラーパレットは、ポンパドゥール夫人の愛した淡いパステル調を中心に、ごく繊細な色彩をセレクト。ベージュやブルーグレー、セージグリーンといったニュアンスカラーでまとめあげるとともに、ブラックのエラスティックベルトで全体をきりりと引き締めた。