ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2018-19年秋冬メンズコレクションを2018年1月18日(木)に発表した。
今季は、メンズ・コレクション アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズによるラストショー。7年間にわたり、あらゆるプロジェクトやコラボレーションなどを発信してきた彼にとって、そしてルイ・ヴィトンにとって特別なシーズンとなった。テーマは「Overview」だ。
今季も会場はパレ=ロワイヤル。屋内に入ると、観客席はまるで山を表現するかのように構成され、足元には砂岩や砂漠を想わせるフロアが広がっている。
そんな会場と同じく今季は地球の風景を切り取ったワードローブが目白押しだった。自然のありのままの姿を映し出したプリントは、実際に上空から撮影されたという写真がもととなっている。さらには、地層をイメージさせるスポーツブルゾン、鉱物粒子のような立体感をもつ花崗岩が投影されたレギンスなどが登場する。これらリアルなアースカラーは、世界中の風景を想起させるだけでなく体験させ、着る者とそれを見る者にグローバルな視点を与える。
そこにアクセントとして添えられた、ネオンカラーは一気にスポーティなムードを加速させ、一方でルイ・ヴィトンのエレガンスを表現するファーやムートンも存在する。とはいえ、スポーティのテイストは真逆に走らせるわけではなく、例えばパイソン柄を導入するなどラグジュアリーなエッセンスをうまく融合させている。
トレッキングのスタイルを主軸としたコーディネートでは、ショートパンツにレギンスを組み合わせたボトムスに、マウンテンパーカーなどテーマに忠実なアイテムを揃えている。しかしながら、訪れる場所が世界中あらゆる地域なわけだから、それだけでは旅ができるわけではない。エレガントな装いからも影響を受けていて、クラシカルなオリーブのチェスターコートとスラックス、足元はトレッキングシューズといった組み合わせがその好例だろう。
また、キム・ジョーンズは、この世界への旅はブランドの歴史を通るトレッキングでもあると述べている。だからこそモノグラムは、地層模様へのマーブル、コートの見返しや裏地への挿入などディテールへ取り入れるだけでなく、クラシックなトランクケース、ネオンカラーの小物類など様々なアイテムへと、個性溢れる形で落とし込んだ。何よりも大胆なプルオーバーは、Vサインとともにモノグラムを表現し、気品あふれるコレクションの中にプレイフルなエッセンスも加味している。
ランウェイの最後には、キム・ジョーンズのラストショーにふさわしく豪華なモデル陣が駆け付けた。ナオミ・キャンベルとケイト・モスが、クラシカルなモノグラムのコートと今季を象徴するブーツを身に纏って登場したのだ。
新しいものを見つけ、新しいものを世の中に送り出す。メンズ・コレクション アーティスティック・ディレクターとしてのキム・ジョーンズの“トレッキング”は今回で終わりとなってしまう。しかし、広い視点で「Overview」を捉えることは、ルイ・ヴィトンにとっても彼本人にとってもずっと続いていく“トレッキング”なのだろう。