ソマルタ 2016年春夏コレクション - デジタルを駆使する新たな民族の誕生へ

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ソマルタ(SOMARTA)の2016年春夏コレクションが発表された。テーマとして掲げられたのは「デジタルクチュール」。ソマルタの服は、2次元を通すことなく、あらゆる要素が混在する3次元の世界を作り出す。

例えば、肌にまとわりつくような質感のミニマルなタイトワンピース。裏地と表地を一緒に仕上げた1枚構造の中で、引っ付ける部分と離す部分を創出して不思議な奥行きをもたせている。また、ポケットの部分は袋布を作らず、裏から見てもポケットがあるということを見落としてしまいそうな仕組みに。肌に触れる部分は常にフラットな“もう一枚の皮膚を纏う”洋服の提案がなされた。

デジタル化されたワードローブには、人体構造を電子的に映し出したようなメカニカルなデザインが。体に滑らかに添うことで、女性の持つエレガントを助長している。また、メインカラーの空や海を想わせるようなブルーには、あらゆる種類の幾何学模様が散りばめられた。水面に映る景色を捉えたようなプリントは、幻想的な世界さえ感じさせる。

エレガント、ミニマル、モードというあらゆるニュアンスを含む洋服。古代ローマに着用されたトーガのように少しドレープを効かせたもの、大胆なカットジャカードをあしらったもの、メッシュのようにカッティングされた素材とレイヤードしたもの。その出で立ちは独特だ。ドレープは縫い目がないためより滑らかに、カットジャカードはアップリケを張り付けたようなボリューム感になっている。

“デジタル民族”とデザイナーの廣川玉枝が語った、「着心地」と「デザイン」の両立を見事に成し遂げた今シーズン。コンピューター3Dによるクチュールライクな技法を駆使する種族は勢力を強め、今後のブランドの未来の発展を予期させた。