トーガ(TOGA)の2025-26年秋冬コレクションがロンドンで発表された。
今季は「フォーマル、インフォーマル、アンチフォーマル」と題し、確立された規範に対する反骨心を表現。フォーマルウェアを挑発的に着崩すことで、はなからカジュアルな服装を選ぶのとはまた違う、“形式への反抗美”を示した。
着想源となったのは、従来の男らしさや正装に対して反抗的な態度を示したアメリカ人フォトグラファー、ウィリアム・エグルストンのスタイル。ショーの幕開けを飾るファーストルックでは、タイを結ばず首から垂らす彼の定番ファッションを踏襲した。胸下までざっくりと開いたシャツには、ボリューミーなバルーンシルエットのパンツを合わせ、フォーマルとアンフォーマル、マスキュリンとフェミニンの境界を軽やかに取り払っている。
クラシックを象徴する白シャツは、多彩な手法でアレンジ。襟は特大に解釈され、時に歪められながら、首元に大胆なアクセントを添えている。このほかにも、フロントにパネルを配し“前後逆”に着用しているように見せるシャツや、片方の襟を2枚重ねたシャツなど、遊びのあるデザインが散見された。
フォーマルウェアと聞くとソリッドな雰囲気が感じられるが、全体を通してシルエットは柔らかな印象。ジャケットはウエストマーク用のベルト付きで、くびれのラインを際立たせるデザインに。スラックスは側面の布地を巻き込んでドレープを生み出し、たおやかさを見せた。布地をたっぷりと使用し、緩やかな曲線を描き出した“エリザベスカラー風”のアウターもまた、コレクションに優美な風を吹き込んでいる。
トーガらしい斬新なカッティングや、異素材の意外な組み合わせにも注目したい。たとえばゴージャスなファー素材のミニドレスは、バックを大胆にくりぬき、シアー素材で仕立てることでセンシュアルな肌見せを実現。風に乗って揺らめくシャギースカートは、サイドを艶やかなメタリックシルバーの素材で切り替え、ユニークな質感のコントラストを生み出している。
シューズからは、アシックス(ASICS)との初コラボレーションスニーカーがお目見え。アシックスの人気スニーカー「ゲルNYC(GEL-NYC)」をベースに、TOGAのアイコニックな“メタルコンチョ”を装飾した民族風デザインが特徴だ。このほか、ぷっくりとしたリボンを配したフラットシューズや、メタルパーツが煌めくレザーシューズもコレクションを彩った。