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【インタビュー】ソマルタ・廣川玉枝の挑戦 〜レディー・ガガも認めた、日本の伝統/技術を次世代へ継承〜

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マドンナやレディー・ガガも惚れこみ、衣装に使用されたスキンコレクション。そのオリジナリティには、日本が誇るべきニット(テキスタイル)技術があった。そして今、ソマルタは、テキスタイルの発展の裏にある日本の和装について再考している。次世代に継承すべく、ソマルタが考える、現代に求められる和装についてデザイナー自身が語った。

ソマルタを立ち上げる迄どのような経験を積まれましたか?

イッセイ ミヤケでニットデザインを主に経験していました。布帛(ふはく)と呼ばれる、伸び縮みの無い、織物生地を使ったシャツやパンツ製品は、 生地を選びそれをどうやって形にしていくかを考えていく。一方、ニットは、糸を選び、その糸を組み合わせてテキスタイル(編地)を作ることから始まります。編地をデザインすることと、製品をデザインすることを同時に経験できたことは財産です。

ファッションも、デザインという大きな海原の中の1つだというのが、イッセイ ミヤケの考え方。メゾンの考えの下、製品に対するクオリティや、糸から織り上げていくデザインプロセスを学べたのも振り返ってみると大きな経験でした。

ソマルタを立ち上げて独立を決意したのはなぜですか?

30歳という節目の年で、イッセイ ミヤケでレディースのニットデザインを担当していました。好きな事を作れる立場で、自分の思い描くデザインを作れる技術もでてきて、後輩もいて、仕事も面白かった。年に2回行うパリコレのサイクルも経験し、これ以上スキルアップをするためには、どうすればいいか考え、自分で立ち上げてもいい時期なのかなと独立を決意しました。

当時はどんなことを思い描いていましたか?

独立をする1年前は、無縫製で作るニットという新しい技術に挑戦した時期で、この技術によって生まれるものづくりに惹かれました。デザイナーの視点で話すと、従来のカットソーを作るのに使われる「丸編」、セーターを編む「横編」という2つの技法に加え、新しい編み方(カテゴリー)が生まれたのです。デザイナーとして、これからの時代に何かを残していくなら、そのような新しい技術を発展させられるようなブランドを作りたいと思いました。

立ち上げ当時に直面した障害はなんですか?また、それをどのように乗り越えましたか?

資金に制約があったのと、ビジネスを深く考えられなかったことでしょうか。インデペンデントなブランドは資金に限りがあり、絞り込んで製作を行わなければなりません。最初のシーズンは、無縫製のニットであるスキンシリーズと、山形のニットメーカーの面白い技術を使ったハイゲージニットの2種類のみでした。会場に関しても、ファッション業界の支援の一環として、無料で借りられる会場でショーを行いました。ショーを見て面白いと思った方々がお客さんを集めて下さり、盛り上がりを見せ、周囲の環境やご縁に支えられました。そのおかげもあり、毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞できました。

スキンシリーズはいつ頃からあったコンセプトですか?

縫製がない、無縫製のニットであるスキンシリーズは、「第二の皮膚」というファッションにあるコンセプトに対する私なりのアプローチ。これは、ファッションの可能性を示す言葉で、自分自身の皮膚を第一の衣服と解釈し、ファッションはその上に纏うから、2番目の皮膚になれるという意味。私が学生時代の時、身体の夢展という大きなファッションの展覧会があり、イッセイ ミヤケやジャンポール・ゴルチエなど、多くのデザイナーの「第二の皮膚」に対するアプローチが展示されていました。その展覧会を通じて、デザイナーは皮膚を究極の衣服として目指すものなのだと感じました。

無縫製ニットという新しいカテゴリーを生み出した、新しい技術に出会った時に、私はその技術で、ファッションの可能性を示そうと思いました。

制作するにあたって困難なことはありましたか?また、どうやって対処しましたか?

新しく生まれた発展途上の技術なので、制限も多かったです。例えば、糸の種類をあまり変えることができません。人の手によってニットの編み方を機械に入力しなければなりませんが、対応できる職人が少なく、時間がかかりました。複雑なデザインを汲み取り、繊細な柄表現を具現化して下さった職人の姿勢に感謝しています。日本のものづくりを支えているのは、手間暇を惜しまず、取り組んでいる職人の方々なのだと思いました。

マドンナ、レディー・ガガも使用されたと伺っています。なぜスキンシリーズが海外からも評価されたのでしょうか?

 

スキンシリーズが他にはない製品だったからだと思います。まず作り方が特殊。機械に入力するデータを作るため全身に合わせて模様を配置します。陰影を意識して、身体が美しく見えるようにデザインも作るので、同じ柄を繰り返し使えず、全身に対して作業が生まれる。違いというのは些細なことですが、その些細な違いが積み重ねって大きなものになります。スキンシリーズは一般的なタイツと比べると5倍密度が高く、時間もかかっているのです。それゆえ、より細かな柄を表現できて、なおかつ丈夫なのです。

日本のテキスタイル産業が衰退していっているという話を聞きます。

デザイナーしか得られない現実感だと思いますが、優れたテキスタイル技術を持つ産業が確かに衰退して行っています。イッセ イミヤケ時代にお世話になったニットメーカーの殆どがなくなりました。数々のブランドに生地を提供してきた、みやしんというテキスタイルメーカーが近年仕事を畳んだのは有名な話しです。私は特に糸から生地、生地から衣服へと、ものづくりのプロセスを見てきたので、メーカーが年月を追うごとに少なくなっていく現状が悲しいです。日本にあるニット技術、テキスタイル技術はレベルが高く、海外が追いつくことはできない技術がたくさんある。優れた技術が生み出す複雑な生地は、表現の可能性をひろげてくれます。ソマルタとしても、面白い服を作って着てもらうことで、もっと産業を活性化させる事に貢献したいです。

この状況はデザイナーの製作環境にも影響しますか?

技術が身近にあることは、デザイナーの環境にとって大事なことです。日本のものづくりが衰退したら、次の世代のデザイナーはどうやってものを作っていくのでしょうか?

仮にアジアに同じようなニットの機械があったとしても、技術が備わっているとはと限りません。技術は人に宿り、蓄積されていくものだから。また、物理的な距離や、言葉の壁は高く、思い通りの製作はなかなかできないと思います。蓄積された技術を失ってしまうと二度と取り戻すことはできません。技術を次世代に継承していくことは私だけでなく、今を生きるデザイナーの使命だと考えています。

次ページでは「和装に対するソマルタの想い」が語られる

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