三島由紀夫・作の舞台『サド侯爵夫人』が、2026年1月8日(木)から2月1日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演。その後、2月5日(木)から8日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて、2月13日(金)・14日(土)に愛知・とよはし芸術劇場にて、2月17日(火)・18日(水)に福岡市民ホールにて上演される。主演は成宮寛貴、演出は宮本亞門。
『サド侯爵夫人』は、日本文学を代表する作家のひとりである三島由紀夫の戯曲。人間の心の奥底に潜む欲望や葛藤を、美しくも残酷な言葉で浮かび上がらせる傑作として知られている。物語の舞台は、18世紀フランス。悪徳の限りを尽くしたサド侯爵を待ち続ける彼の妻・サド侯爵夫人をはじめ、彼の周りを取り巻く女性達の会話劇が繰り広げられる。サド侯爵はその場に姿を現すことはなく、6人の女たちによる会話によって彼の人物像がスリリングにあぶり出されていく。
3幕構成となっており、1772年秋の第1幕、その6年後である1778年9月を描く第2幕、フランス革命勃発から9ヶ月後の1790年4月を背景とした第3幕と、それぞれ異なる時期を背景にした物語が描かれる。会話を通して浮き彫りになっていく愛や忠誠、道徳、そして人間の欲望と倫理の対立に注目だ。
ヒリヒリするような“女性達の会話劇”を今回の舞台『サド侯爵夫人』では、オールメール(全員男性)キャストで演じる。主演を務めるのは、12年ぶりの舞台出演となる成宮寛貴。また、東出昌大や三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也といった実力派俳優たちが集結している。
演出は、舞台『金閣寺』、『ライ王のテラス』、オペラ『金閣寺』、『午後の曳航』といった三島由紀夫作品をこれまでにも手掛けてきた宮本亞門。宮本は成宮寛貴の初舞台作品となった『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』も手掛けており、成宮と本作で25年ぶりのタッグを組む。
主人公ルネ/サド侯爵夫人…成宮寛貴
自らの夫アルフォンス(サド侯爵)を待ち続ける、貞淑な妻。母から離婚を勧められるが拒否する場面も。
サン・フォン伯爵夫人…東出昌大
裏工作のためモントルイユ夫人邸のサロンに招かれる女性。性に奔放。
アンヌ…三浦涼介
ルネの妹。イタリア旅行中にアルフォンスと性的関係を持っており、姉のルネもその事実を知っている。
シミアーヌ男爵夫人…大鶴佐助
ルネの友人。敬虔なクリスチャン。裏工作のため、モントルイユ夫人邸のサロンにサン・フォン伯爵夫人とともに招かれる。
シャルロット…首藤康之
女中。
モントルイユ…加藤雅也
ルネの母。当初は、当局から追われている娘婿アルフォンスが無罪になるよう裏工作をしようとするが、アンヌの告白を聞いて態度を一転させる。
■第1幕
モントルイユ夫人は、娘婿アルフォンス(サド侯爵)の無罪を勝ち取るため、シミアーヌ男爵夫人、サン・フォン伯爵夫人の2人を邸宅に招く。アルフォンスは数々の乱行と娼婦虐待により当局に追われており、モントルイユ夫人は彼女たちの力を借りて裏工作をしようとする。モントルイユ夫人は娘のルネに離婚を勧めるが、ルネはそれを拒否し、寝室へ退室してしまう。その後、モントルイユ夫人は、イタリア旅行から帰宅したルネの妹アンヌから、イタリアでアルフォンスと性的関係を持ったこと、そして姉ルネもその事実を知っていることを聞かされる。この告白に激怒したモントルイユ夫人は、裏工作を取り消す手紙を家政婦シャルロットに託し、自らは国王にアルフォンスの居場所を密告。逮捕と投獄を嘆願する手紙を届けに行くことを決意する。
第2幕
ルネは、妹アンヌから夫アルフォンスの犯罪が罰金刑で済むという再審結果を聞き、歓喜する。実はルネは5年前、アルフォンスの脱獄を成功させ、有罪判決の破棄に奔走していた。しかし、モントルイユ夫人の策略により、アルフォンスは再逮捕。そして、再審で釈放が決まった直後にアルフォンスは王家の警官に捕らえられ、より厳重な牢獄へ送られてしまう。サン・フォン伯爵夫人から、これが全てモントルイユ夫人の策略だと知らされたルネは、母に激しく詰め寄る。
第3幕
革命の混乱の中、貴族たちは身の危険を感じていた。モントルイユ夫人は、牢獄に繋がれたサド侯爵を身内に持つことで、免罪符となり安全が確保できると計算していた。かつてサド侯爵を激しく嫌悪していた彼女だが、革命という時代の変化の中で、彼の出所を待ち望むようになっていた。一方、ルネ夫人は、夫の釈放が近づく中、修道院に入ることを決意する。彼女は、夫が獄中で書いた小説『ジュスティーヌ』を読み、自らの認識が誤っていたことに気づく。『ジュスティーヌ』は、悪徳を貫く姉が幸福を掴み、美徳を守る妹が不幸に見舞われる物語である。ルネは、かつて夫を「悪の象徴」と捉えていたが、実際には自らが「美徳の象徴」であるジュスティーヌであったと悟るのだった。
【詳細】
舞台『サド侯爵夫人』
作:三島由紀夫
演出:宮本亞門
出演:成宮寛貴、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也
・東京公演
上演期間:2026年1月8日(木)~2月1日(日)
場所:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 新宿タカシマヤ タカシマヤタイムズスクエア南館7F
・大阪公演
上演期間:2026年2月5日(木)~8日(日)
場所:森ノ宮ピロティホール
住所:大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5
・愛知公演
上演期間:2026年2月13日(金)・14日(土)
場所:とよはし芸術劇場
住所:愛知県豊橋市西小田原町123
・福岡公演
上演期間:2026年2月17日(火)・18日(水)
場所:福岡市民ホール中ホール
住所:福岡県福岡市中央区天神5-2-2