ピリングス(pillings)の2026年春夏コレクションが、東京コレクション会期中の2025年9月3日(水)、東京・原宿の新光第二ビルにて発表された。
“愛おしいニットを作る”ことをコンセプトとするピリングス。12シーズン目となる今季、デザイナーの村上亮太がテーマに掲げるのは「マイバスケット(mybasket)」だ。
「マイバスケット」は、“日常のルーティン”や“当たり前にあるもの”という意味での共通言語である。「原宿のカワイイ文化やオタクカルチャー、アヴァンギャルドといった分かりやすい日本のファッションではなく、もう少し隠れた、まだ言語化されていない本当の日本の日常服を表現したい。」そんな村上の想いを込めた。
全体をとおして散見されたのは、近所のスーパーまでさっと買い物に行く時のような、気負わない服。肩紐がねじれたワンピース、穴が開いてほつれたスウェットドレス、クシュっとしわの寄ったニットカーディガン、アシンメトリーに歪んだタイトスカート。ベーシックなアイテムに歪な加工を施すことで、日常に息づく生活感を演出した。モデルたちのぼさぼさのヘアスタイリングからも、リアルなオフ感が感じられる。
ルームウェアやランジェリーを彷彿とさせるピースもまた、親密なムードの鍵を握っている。たとえば、3枚重ねたカーディガンの下には、レースをあしらったシアースカートを忍ばせ、ほのかなフェミニティを演出。淡いミントカラーのキャミソールに、透け感のあるキャミソールをレイヤードしたルックも、部屋着のラフさと女性らしさの両方を漂わせている。
ピリングスの代名詞であるニットにも注目したい。とりわけ目を引いたのが、コレクションに童話的な華やかさを添えるフラワーモチーフ。ふんわりとしたバルーンスカートには、裏返しになったポケットのモチーフを散りばめ、花が咲いたようなビジュアルに。鍵編みニットのカーディガンには、ラベンダーやブルーのリボンを編み込むことで花束を描いた。
また、NHKの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」内で放送されていた人形劇「にこにこぷん」とタッグを組んだアイテムも。村上が幼い頃、母親に「にこにこぷん」のキャラクター・じゃじゃまるをモチーフにしたニットを編んでもらったことがブランドの原点となったことから、今回のコラボレーションが生まれた。キャラクターをワンポイント刺繍で配したカーディガンが展開される。