アンリアレイジ(ANREALAGE)の2025-26年秋冬コレクションを紹介。テーマは、「SCREEN」。
液晶スクリーンの真っ黒な画面に、未来のファッションを投影した今季のアンリアレイジ。デザイナー・森永邦彦は、現実世界においても衣服がアバターのようになり、プログラムをダウンロードすれば、自由自在にデザインをアレンジできるようになる未来を目指しているという。その言葉通り、今季のコレクションでは、液晶スクリーンとなった黒い服に多彩なカラーやパターン、グラフィック、メッセージを映し出していく。
まずランウェイに現れたのは、液晶スクリーンに映る光線をそのままデザインへと昇華させた“アナログの世界線”だ。衣服に一定間隔で白い円をプリントし、模様をつけたい箇所に鮮やかなRGBカラーを使用して色をつけていく。ひし形やボーダー、ブロック、フラワーモチーフ、幾何学模様といった多彩なパターンが披露された。
特徴的なシルエットにも言及したい。上半身は、肩や腕を大きく超えた直角のラインを描き、ブロック状のアバターを思わせる。角ばったフォルムとの整合性を図るように、ボトムスは“ストンとした”ストレートパンツをメインに、幅広のワイドパンツや、ヒップ下から左右に凸したパンツなどを採用した。
またバリエーション豊かなカラーファブリックを繋ぎ合わせ、ステンドグラスを表現したルックが登場。1万枚以上のファブリックは、ベーシックなリネンをはじめ、ラメ糸が煌めく生地やなめらかなブロード、少し厚みのあるシーチング、凹凸としたキャンバスなど…風合いや色味の異なる素材をドッキング。そのダイナミックな佇まいは、ランウェイの舞台であるパリの大聖堂を彷彿とさせる。
フィナーレにかけて、“液晶スクリーンを纏う”デジタル世界が幕を開けた。本物のスクリーン画面のようなテキスタイルやLEDを組み込んだ糸を、クリエイティブ集団・エムプラスプラス(MPLUSPLUS)と共同開発。ステンドグラスからタータンチェック、フラワー柄まで、眩いLEDライトが模様を浮き上がらせる。
日々刻々と変化し、動き続ける生命と同じように、デザインも可変的なものであるー。森永は、新たなデザインが絶え間なく生まれ、アイデアを交換・共有し、自分が本当に求めている衣服を身に着けられる未来を想像し、その夢の実現に向け1歩進み出したのだ。