デザイナー伊藤壮一郎が表現したい、作りたいと思うものや、好きなものを詰め込んだ今シーズン。そんなソーイ シャツ(soe shirts)の2015年春夏コレクションは、アイテムの原型などトラディショナルな部分を意識し、その素材やデザイン、フォルムなどの細かいディテールを組み合わせることで、新たなスタイルを提案する。シャツやアウターといった限られたアイテムに、いつもと一味違った遊び心をプラスした。
コレクションの中心をなすのは、やはりこだわりの生地で仕上げられたシャツ。さらっとしたデニムのブロードシャツは、トラッドなボタンダウンを取り入れつつ、右胸のポケットについたチャックがアクセントとなっている。ハーフスリーブシャツは、柔らかくヌメ感のある風合いが特徴。またフロントにイエローのマスキングテープで書いたようなプリントが入り、プレイフルでありながら意味深なメッセージが込められている。
さらに注目したいのは、デザイナー自身も愛用しているという、ロサンゼルスのアーティスト、ピーター・シャイアー(PETER SHIRE)の作品にインスパイアされたというシャツ。トリコロールのカラーブロックが施されたシャツは、伝統的な技法であるハンドスクリーンプリントを用いた、深みのある染め上がりが特徴だ。また同様に、筆でたたいたような柄のシャツにもその技法が用いられ、ピーターが生み出すプロダクトの柄と、奥行きのある色の重なりが繊細に表現された。
そして今シーズンのアウターは、機能性も重視。ソーイ シャツ定番のスプリングコートはロングバージョンとなり、防水かつ防風仕様。吸水速乾性のあるサマージャケットは、地図や新聞が入るくらい大きなポケットや、沢山の内ポケットが備え付けられ、旅先で重宝しそう。またすっきりとしたフォルムで、カジュアルにはもちろんフォーマルな場にも着ていくことができる優れものだ。