2014年3月22日(土)、キディル(KIDILL)が2014-15年秋冬コレクションを発表した。今回がメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京初参加となったキディルは、2014年に入ってから立ち上がったばかりの新進気鋭のブランド。「狂気・愛・理性」をテーマに、クラシックな中にもウィッティなディテールが光るコレクションを展開した。
以前は、ヒロ(HIRO)という別のブランドを手がけていたデザイナーの末安弘明。10年の月日と共に自分の着たい服が変わってきたと語る末安は、それまでのカジュアルでストリートな路線からすこし進路を変え、ジャケットやテーラードなどよりクラシックな部分を取り入れた。
オールブラックからスタートしたカラーパレットには、ショーが進むにつれ少しずつ色味が加わっていく。中盤には、キュートなアニマルのモチーフが落とし込まれたプルオーバーのセーターやトレーナーも登場し、ベーシックなスタイリングに大人の遊び心を効かせた。
ショーのクライマックスに登場したのは、全身を覆うオオカミモチーフ。元々デザイナーが好きな動物であったということに加え、テーマのひとつでもある「狂気」を持った動物であるということから、用いたという。全面に描かれたオオカミはプリントではなく、コブラン織で編み込まれているところに、デザイナーのこだわりが感じられた。
ショーの感想を聞かれると、「また続けたい」と語った末安弘明は、「前ブランドでは表面的に表現していたパンクスピリットを、今回のコレクションでは服の中に閉じ込めました」と続けた。見えないけれど強さを感じさせる洋服を披露した新ブランド、キディルのこれからの展望に注目したい。