フェンディ(FENDI)の2020年春夏メンズコレクションが、2019年6月17日(月)にイタリア・ミラノのヴィッラ レアーレの庭園にて発表された。
朝の光が差し込む、爽やかな庭園にて開催された今季のコレクション。鳥の鳴き声や木々が風に揺れる音とともに、清々しい空気感が流れ込んでいた。テーマは、“en plein air”=“戸外”の男性。バーチャルで実体性のない現代の生き方から脱した、リアルな実用性、機能性による「最高のアウトドア」スタイルと、フェンディ・メンらしいエレガンスを掛け合わせた、牧歌的なウェアが展開された。
ファーストルックを飾ったのは、カーキのアクティブなジャンプスーツ。バケットハットをかぶり、グローブをはめた手には、ガーデニングバスケットを持っている。深めに配したラバーソールが特徴的な、ムーンスター(MOONSTAR)とコラボレーションしたキャンバススニーカーもまた、活発な印象を強める。舗装された道ではなく芝や砂利道の上を、探求心とともに歩くのにふさわしい装いは、自然にあふれた庭園の優雅な雰囲気に溶け込むようだ。
その後も、カーキやグレージュなど、アーシーなカラーを基調とし、シルクやコットン、ウール、カシミア、レザー、スエード、デニムといった自然素材を組み合わせたルックが続く。軽やかな素材で仕立てたブルゾンやロングコートには、大きめのポケットを配し、機能的なデザインに仕上げている。ボトムスは、カーゴパンツやショートパンツなど、快活なパンツを多数揃えた。フルレングスのパンツにはスリットを入れることで、活動的な印象を演出している。
映画監督のルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)がデザインを手掛けた、温暖な気候に生き生きと繁るようなフラワーモチーフも、目を引いた。防水加工を施した、薄く軽快なオーガンザにプリントされたフラワーモチーフは、光を受けたり通したりすることで、躍動感を増していく。その他にも、ベージュのコートのパイピングにフラワーモチーフのファブリックを使い、デザインに優しく絵画的なアクセントを効かせた。
また、ギンガムチェックの上からグラフィカルな模様を重ねた抽象的な柄も、軽く動きやすいコートやロングブラウス、ジャケットにプリント。自然に馴染むイエローやブラウン、グリーンなどのカラーが入り混じるようにしてウェアを彩る。
カットワークによる“透かし”も印象的。庭園のツタを這わせるフェンスを連想させる、規則的に編み込んだ幾何学的なニットや、穴を並べ、グラフィカルな模様と掛け合わせたニット、艶やかなレザーとスエードを組み合わせたジャケットやポンチョなど、“透かし”によって身体と服との間に空間が生まれることで、より身軽な雰囲気を創出。ファーを組み合わせたラグジュアリーなブルゾンや、襟にフェンディロゴのカットワークを配したコートなども展開された。
バッグは大きい容量のデザインが散見された。ウェアと同様にテープを編み込み、“透かし”を生かしたトートバッグや、「ペカン」ストライプを配したワンハンドルバッグ「ピーカブー」、フロントにポケットを複数配したボストンバッグなど。フェンディのブランドロゴを編み込んだストローバッグや、じょうろを象ったユニークな形のバッグも目に留まった。また、小ぶりなバッグでは、「バゲット」バッグが、ストロー素材やカットワーク、クロコを採用したデザインにて登場した。