ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2019年秋冬コレクションが、「Amazon Fashion Week TOKYO」初日の2019年3月18日(月)に渋谷ヒカリエにて発表された。

トップバッターを飾ったドレスドアンドドレスド

「新雪に足を踏み入れているみたいでとても気持ちがいい」。「Amazon Fashion Week TOKYO」のトップバッターとなったドレスドアンドドレスドのデザイナー北澤は、自分が青森県出身であることと重ねてそう語った。

メンズのみを起用したランウェイショー

前シーズン、デュオとしてではなく1人体制で心機一転スタートし、10年目という節目を経たドレスドアンドレスドが、今季掲げたテーマは「ポートレート」だ。北澤は、これまでの10年の歩みをしっかり見つめ直すことから創作をはじめた。「ユニセックス」というこれまでブランドが大切にしてきたことは守りながらも、男性である自分ができるクリエーションを見つめ直し、その想いを実直に反映させるため、今季のランウェイではあえてメンズに特化した。

服で表す自問自答

ランウェイの先には“尋問室”のようなセッティングが配置されており、まるで陰と陽を表す2つのルックが、その中でストーリーを繰り広げる。そして、彼らは“名刺のようなタグやネームプレートを吊り下げて、さり気なく自我を誇示している。

白いクロップドシャツと、対照的な黒のクロップドシャツの2人。コケティッシュでヌーディーなベージュと黒の前身タイツの2人。続いていく対比的なルックには、人間の内面を表す何かが感じられる。

ウールのチェスターコートを羽織ったモデルは、白いさらしのようなトップスの上に片側だけ肩を落として着こなす。もう一方は、黒いさらしを包み込むようにきちんとコートのボタンを留めて羽織っている。レザージャケットは、白いシャツとショートパンツで軽やかに合わせているが、その二面性を表すレザーのロングトレンチコートは、丁寧すぎるほどにベルトまでしっかり止めて着こなしている。

見せるもの。そして隠すもの。対比的なものをテーマにするのは、これまでブランドがテーマにしてきたことでもある。そして今回は、2人のモデルのやりとりの中に、1人の人間の自問自答の意味を込めた。小さな“尋問室”に繰り広げられたのは、北澤の自問自答であると同時に、その服を身に着ける人に託した自問自答ではないか。

10年を迎え、心を見つめ直すことで明らかになっていった、相反するテーマが生むブランドとしての個性。ファッションの中にある膨大なストーリー性。そして、そのストーリーが纏わせる、ただ着るだけではないファッションの楽しさ。その答えはきっと前向きなものだ。