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オヤジスタイルを変えたい!

今特にこのファッション文化を変えたいと思う点はありますか?

オヤジスタイルを変えたいんですよ。オヤジは百貨店に買いに行ってもなかなか売ってないのよ。まず頭の中が、売ってない。(笑)

だから、最近、大きなショーで“オヤジの革命"を起こしたんです。「こんなショーするでしょ」ていうみんなの期待に対して、オヤジさんをモデルにすることで裏切る。そのオヤジさんたちがですね、、めちゃくちゃ可愛かったですよ。

企業の社長さんとか、上に立つ人ばかりをモデルに起用しましたが、服装をそれらしいものから変えてみたんです。人生、一生に一度くらい変わることもいいんじゃない!と思って。

それと関連してか、いつも出会った人の中からいつもモデルを選びますね。

そうですね。「特別に背の高い、特別に綺麗な人がどうしたらもっと綺麗になるか」というのは私の仕事の対象ではないですから。「普通の人がどうしたらキャラクターが芽生えて、個性が出て、周りの人がその人を違う目でみれるか」それが洋服のパワーだと思うし、それが私たちの職業かなと思います。

靴から全部採寸してショーに出ますけど、モデルをしてくれた人には「これからこの服きてください」と、いつも全部お渡ししてます。そしたらね、みんな本当にそのまま着て帰るんですよ。

“違う自分をになれる“素敵なお話ですね。

ずっと会社勤めで、退職して、世の中から吐き出されるような毎日に変わるわけでしょう。そしたら持ってるものといったら、スーツしかない。そしたらセンスの悪い奥さんが服をあてがう!笑

関西弁で言えば、“あれがあかんねん"。

だって、ちょっとかっこよくなったら、出て行くから。人の反応求めに。

でも、それがものすごく大切。先長くないんだから、“かっこよくなり"って伝えていきたいですね。

話を戻すと、面白かったのが、ショーの途中で控室からモデル全員がいなくなって、どこ行ったんだろうと心配してたら、外に出てコーヒー飲んでるんですよ。“出たらあかん"って言ってるのに。(笑)

自分がいつもと違うと“はよ見せたい"って気持ちあるんでしょうね。みんな、自分自身に絶対自信ないんですよ。お腹も出てきて、足も重症ってくらい短いし。コンプレックス持ってるから「こんな年だし何も似合わないんだ」と思い込んでるんです。そんなこと思ったらあきません。“かっこええね"とか言われることが一番の薬だと思います。

これからの瞬間はエンジョイしなきゃいけない。楽しみていうのは、だんだん少なくなると思うんですよ。でも普段の心がけで、楽しみになることもある。いいことに私の服ってイタリア製が多い。着たらかっこいいんですよ。(笑)

オヤジ革命の洋服を分かりやすくいうとどんなものでしょう。

スーツの下のパンツのシェイプで、抵抗のないようにしています。オヤジ革命では安い生地を使うのはダメです。年齢的にみすぼらしくなりますから、デニムでは、白色で上質な岡山の生地を使っています。

ネガティブなことを言いすぎない!

生地の話が出ましたが、ミチコさんの生地へのアプローチを教えてください。

私、めちゃくちゃ高い生地がふんだんにあるところで育ったので、実は高い生地が大嫌い。私にとっては安い生地で、どれだけ面白いことができるか、それが自分を試す挑戦でした。だから、「高い生地をさらに高く見せて売る」ていうのはコンセプトとして私とは逆なんです。

だけど、安くなくても、年中着て、結局一年で何回着たかが値段のつけどころなので、たくさん袖を通してもらえる服作りをしたい。だからね、それだけたくさん着れるような生地選びをしています。「ミチコさん、元とったよ」て言ってくれるときが一番嬉しい。結局着なかったという人もいて、それが一番悲しいですね。

【インタビュー】ミチコ コシノ、30年の歩み | 写真

今の日本の生地についてミチコさんの意見をお聞かせください。

波ってありますよね。デニムの波、ナイロン系の波。次はコットンの波が来るかもしれません。そんな中で、今は、和歌山の丸ニットが気になります。ダンボールの構造部分のように編んだダンボールニットが、コットンなの本当に軽くて、一年中着れるんです。

【インタビュー】ミチコ コシノ、30年の歩み | 写真

最近そんなユニークな生地を生産する工場が減ってきているという話も聞きます。

ちゃんとしたモノづくりをしている生地のお店が減っているということは、(今は出来ても)20年先に同じ服作りをすることが難しくなってるということです。それが、寂しいですね。

みんなよく似たデザイン、生地だけで作ってます。「こんな風にオリジナル」とか「このコンセプトで服作りをしてます」と考えを持ったデザイナーが少ないというのが、生地産業が縮小している理由です。

どんなことをするべきだと思いますか?

何かをするまでもなく、ファッションって回ってくるものですから、消えて行くってことは絶対ないと思います。ただ、その時期になった時にちゃんと立て直せるかが問題。取り戻せる状況であって欲しいですね。

一つありました!メディアや学校の先生もファッション業界についてネガティブなことを言いすぎだと思うんですよ。「景気悪いですよ」と吹聴しすぎ。そんなこと学生に言ったらやる気なくしますよね。
絶対に面白いことやるんだ!という希望が持てないと。ファッションってやっぱり夢のある仕事ですから、、もっといけますよ!てくらい乗せなあかんと思います。

景気悪いなんて、イギリスでは聞いたことないですよ。景気悪いなんて本当はみんなわかってても、絶対うちは一番だと毅然としてるでしょ?

ミチコさんのアイコンであるインフレータブルについて教えてください。制作にどのような背景があったのでしょうか。

インフレータブルも、結局は工場のテクニックなんですよね。インフレータブルのボタンのところが気になっていて、ボタンホールに変更ができるか聞いてみたら、できると言われてそのテクニックが加わったことですごく発展していきました。

それによって単なるTシャツにインフレータブルのヘルメットをつくってその上にセーターやジャケットを着る。それが本当に新鮮でした。古いものが新しいテクニックを持って発展できました。

【インタビュー】ミチコ コシノ、30年の歩み | 写真

そのインスピレーションはどこから来るのでしょう。

基本的に工場に行くのがすごい好きでよく見学に行くんです。私の知らないテクニカルなことをやってるというのがすごいこと。そこで、持ってるもの見て、何ができるか考えるのが好きですね。

どんな工場に行かれるんですか?

ものを作っている工場ならどこへでも。インフレータブルもそもそもは洋服なんて作っている工場ではないですから。(笑)

工場って、すごいですよね。親の代からやっていて、何十年と続いているものが多くて、最近始めました、というものじゃない。ベーシックにテクニックがあるってことは絶対に“本物"ができますから。

世界で色々な工場を見てきたと思いますが、おすすめは?

こだわりを追求するなら日本にしかいない。彼らって、オタクもいいところ。(笑)だから絶対、こだわりのこだわりは日本!

次のページは「チャンスは何処にでもある。

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