ザ・ロウ(THE ROW)の2026年夏コレクションが、2025年10月2日(木)、フランス・パリで発表された。
今季のインスピレーション源となったのは、都会的なエレガンスが光る1920年代のオートクチュール。この時代を象徴するシェイプやスタイルを、ザ・ロウならではの控えめな視点から再解釈し、心地よく着やすいものとして表現している。
コレクションを形作るのは、フロントボタンを隠したトレンチコートやコラムスカート、半袖のビスコースシャツなど、ミニマルな中に上品さが息づくピース。今季は1920年代当時を思わせるフィット感のあるシェイプを取り入れ、トラウザーは細身に、スタンドカラーのジャケットはコンパクトなショート丈で提案している。
“クワイエットラグジュアリー”ブームの先駆者であるザ・ロウだが、今季は珍しく装飾的なディテールを多用しているのがポイント。白のミディスカートにはフロントに羽根をあしらい、シンプルなブラックドレスにはスパンコールの大胆な煌めきをプラス。1920~30年代によく用いられた毛足の長いモンキーファーをイメージした、オーストリッチフェザーのベストも登場し、ザ・ロウ流のマキシマリズムを打ち出した。
また、ウエストで切り替えたブラックドレスは、スカート部分が前方に膨らむようなシルエットに仕立て、花柄のスカートは布をつまんで優雅にドレーピング。チューブトップのドレスにも巻き付けるようにしてフリルを流すなど、ドラマティックで華やかなムードのイブニングウェアもコレクションを彩った。
随所に取り入れられたのが、軽やかなベルベット素材のサッシュ(帯)だ。胸元に巻いたり、ウエストを締めたり、エプロンのように垂らしたりと自由なアイデアで用いられ、優美なドレープと躍動感をプラス。構造やシェイプによって、ルックをフォーマルにもカジュアルにも演出している。
ライニングが表に出たようなデザインのスカートやドレスは、内側の構造を意図的に露出させることで、職人技をあえて見せるというコンセプトに基づくもの。コレクションではこのほか、端を処理せず切りっぱなしのままで仕上げたピースも披露された。