ジル サンダー(JIL SANDER)の2026年春夏ウィメンズ・メンズコレクションが、2025年9月24日(水)にイタリア・ミラノで発表された。
9月後半に差し掛かってもなお、暖かな空気に包まれるミラノ。ショー会場となるジル サンダー ショールームの窓からはさらさらと陽光が降り注ぎ、空間全体に開放的なムードが漂っている。
新クリエティブ・ディレクター、シモーネ・ベロッティが手掛ける2026年春夏のジル サンダーは、そんな会場の雰囲気と呼応するように、心地よく軽快だ。ルーシー・メイヤー&ルーク・メイヤー夫妻が先シーズンで描いた「闇から光へ」というテーマからバトンを受け継ぎ、カラフルな色彩に満ちた、晴れやかなコレクションを完成させた。
ジル サンダーのミニマルで洗練された美学は、計算し尽された構築的なフォルムに見ることができる。今季のキーピースである上質なレザーのコートやペンシルスカートは、ハリのある質感とシャープなシルエットの相乗効果で、折り紙を思わせる端正な佇まいに。シャツデザインのジャケットは、ふっくらとしたショルダーと曲線的なウエストのラインで、彫刻のような立体感を演出している。
ともすると一切隙のないようにも見える、クリーンでミニマルな洋服の数々。それらに抜け感をもたらすのが、遊び心の光るカッティングだ。直線的なペンシルスカートは、ウエスト周りやフロントに切り込みを入れることで、厳格なムードを払拭。構築的な仕立てのドレスは、胸の辺りを大胆に丸くくり抜き、アンダーウェアを露出させているのが新しい。
ランウェイが進むごとに、素材の提案も豊かになっていく。コレクションの冒頭で彫刻的なシルエットを描いていたドレスは、空気のように柔らかなシアー素材で新たに解釈。クラフト感溢れるフリンジ付きのスカートやビニール素材の花柄ワンピースもまた、クリーンでノーブルなクリエーションの中で、楽し気な魅力を放っている。
今季の晴れやかなムードを形作る、プレイフルなカラーパレットも見逃せない。明快なレッドやブルーから、ピスタチオ、ピンク、ペールブルーといった淡色、煌めくシルバーまで、多彩なカラーがファッションの楽しさを呼び起こす。異なるカラーのアイテムを多層的にレイヤードしたルックは、さながらポップアートのような大胆さを湛えていた。