セリーヌ(CELINE)は、2026年春ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。
2026年春夏シーズンは、新アーティスティック・ディレクターのマイケル・ライダーが率いるセリーヌのデビューコレクション。マイケル・ライダーはかつてフィービー・ファイロとともにセリーヌのデザインディレクターとして10年にわたりクリエーションを手がけており、新たな形でのカムバックとなる。
今シーズン着目したのは、セリーヌというメゾンが理想として掲げる普遍的なスタイル。マイケル・ライダーは、"服の着こなし方”を通してセリーヌのタイムレスなスタイルを解釈する。服を着ることで、自分がどういう人物で、何を象徴しているのか、という「姿勢」の表現を探求した。
生きていく中で出会う出来事や変化、身に付いた仕草、過去の思い出。着る人の人生を構成しているこうした要素と同じく、服も常に着る人の一部であるというマイケル・ライダーの考えが、デザインに反映されている。
テーラードジャケットやチェスターコート、タックパンツ、そしてニットやジーンズ、ストライプシャツ、レザージャケット、モッズジャケット。アイテムの1つ1つを見ていくと王道ともいえるオーセンティックな佇まいだが、「着方のバランス」に個性を持たせることで、ごく個人的で親近感のわくような装いを提示しているのが印象的だ。
たとえば、かっちりとしたダブルブレストのジャケットにはセーターをショールのようにして羽織り、鮮やかなブルーのスウェットには、レザージャケットをラフに巻き付けてラッフルのような躍動感をプラス。一番上のボタンだけを留めたニットカーディガンは前合わせが大胆に開き、斜めを向いている。エレガントなアイボリーのチェスターコートに、花々の刺繍を施したデニムパンツを組み合わせたルックも目を引いた。
着る人それぞれのオリジナルな佇まいを強調するアイテムとして、アクセサリーが多用されている。金色に輝く稲穂の束をモチーフにしたブローチや、ロゴの刻印を施したフロントの楕円形パーツがアイキャッチなベルト、ホーン(角)モチーフやメダルを連ねた大ぶりのチェーンネックレス、そしてバスケットバッグなど、アクセサリーが加わることによってその独自性がより一層際立っている。
特に、スカーフは自由な着こなしの可能性を大きく広げており、アウターの襟を覆うようにして巻いたり、反対に襟の裏から柄が見えるようにさりげなくあしらったり、ネックレスのようにフロントで弛ませたりと、多彩なまとい方が提示されている。
普遍性は服そのものにも宿っており、仕立てはベーシックな文脈に沿っている。その中で、造形に緩急をつけることで固有の佇まいに仕上げた。パワーショルダーのジャケットはウエストを絞り、タックパンツは裾に向かってテーパードすることでふくらみのあるシルエットに仕立てている。バルーンスリーブの丸みを強調したブラックドレスや極端なボリュームのファージャケット、たっぷりと生地を使って分量を持たせたロングドレスも存在感を放っていた。