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ポップなメロディと、相反する歌詞。フラストレーションをバネにして生まれる曲。

【インタビュー】UK人気ユニット「ザ・ティン・ティンズ」 - イビザで見つけた2人の新境地 | 写真

今回に限らず、曲作りに対する共通のテーマはありますか?

K:ポップミュージックを作ることが好きです。けれど、ありきたりでキャッチーな曲を作るのは、そんなに難しくないんです。私たちがやろうとしているのは、そこに魔法があったり、ひねりがあったりするもの。単にプロデュースされて製品化されたものではなく、聴く人の想像力を膨らませるような音楽を作りたいと思っています。

歌詞について、2ndアルバム『サウンズ・フロム・ノーウェアズヴィル』ではフラストレーションが強く表現されていたそうですね、最新アルバムはいかがでしょうか?

K:2ndアルバムは、音楽業界に対する嘆きだったんですが、オーディエンスの99パーセントが興味を持たないと分かりました(笑)。

でも私たちの好きな曲って、いつも何かを嘆いているものなんです。これまでリリースした曲が全部そうであるように。メロディはとてもハッピーなのに、歌詞は悲しくて暗い感じ。これがいつもやろうとしてること。

3rdアルバムの最後の1曲、『フェイラー(Failure)』もまさにそうですね。社会に馴染めない“落伍者”というネガティブなタイトルなのに、曲はとってもアップビートでした。

K:それは、ジュールズがiPadで書き始めた曲ですよ。

スタジオではないところで作っていて「この曲はすごくいいけど、かなりポップだよね!」って話していたんです。私たちには、ちょっとポップすぎたので、歌詞はとっても憂鬱な感じにすることで、満足いくものに仕上がりました。サウンドは純粋にポップなのに、歌詞を聴いてみたら「私はすべてにおいて最悪!」「落ちこぼれだわ」って。

J:ファーストアルバムの『ザッツ・ノット・マイ・ネーム(That's Not My Name)』という曲も、似ています。

皆この曲をとてもポップだと思ってるんだけど、これは(音楽業界に)認知されていない自分たちについての曲なんです。この曲が収録されたアルバムをリリースする前、私たちはあるレコード会社との契約が断ち切られてしまいました。コンサートの手配のときも誰も電話に出てくれなくて。ケイティはそのとき20歳やそこらで、「私のキャリアが21歳で終わったなんて信じられない。誰も私たちと話してくれないなんて」と言っていました。

『ザッツ・ノット・マイ・ネーム』は、その時の様子や想いを表現した曲です。名前すら、誰にも憶えてもらえなかったときのことを。

例えば、外に出て誰かに会えば、どんな人だって1人ぐらいは自分のことを覚えてくれますよね。そして皆「知り合いがいるんだ」という気持ちになります。

それと同じことで、私たちはレコード会社と契約したことで、将来が約束されたと思っていました。でもそうでなくなったとき、電話をかけても誰も憶えてくれていないんです。とても悲しかったですね。

K:多くの人は『ザッツ・ノット・マイ・ネーム』のことを「超楽しい曲!」と言ってくれますが、私たちがこの曲を書いているときは、本当にどん底でした。でもいいんです、愉快なポップソングとして皆が曲を楽しんでくれるなら。

J:その後新たなレコード会社を探すことを通じて、私たちは自分たちの“魂”を見つけたのだと思います。パワフルな作品が作れるときは、一番フラストレーションを感じているとき。もし始めから成功してキャリアを積んでいたら、人の心を動かす曲は作れなかったかもしれない。

ザ・ティン・ティンズの2人が日本で体験したこと

【インタビュー】UK人気ユニット「ザ・ティン・ティンズ」 - イビザで見つけた2人の新境地 | 写真

もう何度も日本を訪れていますが、これまでどんなことをしましたか?

J:今回は、新宿にあるロボットレストランに行きました。あとは原宿、渋谷でショッピングしたり、六本木にも行きました。金曜日は朝の5時とか6時までバーにいて、結構ハードでしたね(笑)。あとは原宿にある神社(明治神宮)や、公園にも行きました。

K:ただ2日間歩き回って「はぁ~(深呼吸)」って。

日本には何度も来ているんだけど、毎回とても短い時間で買い物するんです。あるとき真っ赤なブーツを買って、それで1年ぐらい履いてたんだけど、「どこでそれ買ったの?」って毎回聞かれるんです。ヨーロッパではこういうのが見つからないんです。クレイジーなリングも原宿で買ったけど、ニューヨークには売ってませんでした。クールな服はあるけど、日本のは、なんかひねりが効いているというか。ここで買うものは、皆気になってるんです。

独自のセンスが光る、ケイティのファッション

ケイティはヘアスタイルを変えましたね。イメージした人はいますか?

K:ええ、70年代のジェミー・ホールの写真を見たんです。70年代のとっても有名なモデルで、もともとストレートヘアーで知られていたんですが、あるときボリューミーなブロンドヘアにしたんです。それが好きで。

【インタビュー】UK人気ユニット「ザ・ティン・ティンズ」 - イビザで見つけた2人の新境地 | 写真
東京公演の様子。ケイティが着用するチアリーダーのような衣装は、本人が渋谷109で選んだもの。

好きなファッションのテイストや、お気に入りのブランドはありますか?

K:なんだろう……美しいクチュールのようなドレスは全部好きです。それが例え10ドルで買えるようなものでも。バンドのイメージと違うから、ステージ衣装にはしないけど。

ブランドだったら、ミュウミュウ(MIU MIU)がとても好きです。特にアクセサリーが可愛くて、キラキラのサングラスを買いましたね。

ご自分で服も作るそうですが、最近作ったものはありますか?

K:(その日着ている)この服も自分でカスタマイズしました。

これは、アフリカの柄です。アフリカの模様について調べたのですが、すべての柄にはストーリーがあって、描かれている線もただの線ではなく、何かのシンボルだったり、いろんな意味があるんです。今私たちはこういった模様にハマっていて、自分たちだけの柄で生地を作ろうとしているの。ザ・ティン・ティンズの柄よ。とても楽しみにしています。

一般の人に向けて、服を売る予定はあるんですか?

今まではファンの人たちに向けて作っていたのですが、今回は洋服を売ります。イギリスとヨーロッパではもうやっているんだけど。こういうことするのは本当に大好き!普通のTシャツと同じぐらいの値段なんですけどね。

ライブTシャツって、私もそうなんだけど寝るときにも着ますよね。でも女の子だったら外にでるときはもっと特別なものを選ぶでしょ?だから今、私たちはライブのために新しいものを作ろうとしているんです。結構うまく進んでて、ネットを通じて、どんどん大きくしていくつもりよ。

あと今回の滞在では、服のデザインのために原宿で写真をたくさん撮りました。「こういうのにもチャレンジしよう!」って。たくさんのインスピレーションをもらいました。春には、もっとたくさん服をつくる予定なんです。

ザ・ ティン・ティンズは、デビューと同時に音楽界を賑わせたミュージシャンだ。もちろん大手レーベルからも声をかけられたし、当時から路線を変えずに活動していれば、さらにステップアップしていくことは簡単にできたはず。けれど2人は目先の成功だけにとらわれず、自分たちのやりたいことに正直になり、アルバムごとにテイストをがらりと変えて新しい挑戦を続けてきた。インタビューを通じて、イビザ島で生まれた最新アルバムは、これまでのフラストレーションから離れ、自由な気持ちで作られた音楽なのだということが分かった。初めて共同で制作に関わったアンディ・テイラーも、2人の良き理解者であったことが伺える。 これだけ人気を博しても、手書きでCDにタイトルを書き、ファンのために服作りを行い、PVも自ら考えるなど、すべてをプロデュースするDIY精神は変わ らない。今後の活動も、きっと私たちの期待をさらりとかわし、独自のスタイルで驚かせてくれるのであろう。

Interview and Text by Kanae Kawasaki

さらに詳しい、ザ・ティン・ティンズの情報は次ページで紹介 >>

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