オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE)は、2026年春夏メンズコレクションをイタリア・フィレンツェの「ペトライアの別荘」にて発表。第108回ピッティ・イマージネ・ウオモにゲスト・オブ・オナーとして参加した。
今シーズンの着想源となったのは、クリエーションのプロセス。ものづくりのリサーチのためにイタリアの様々な町を巡って色を採集した旅の過程や、行く先々で芽生えたアイディアをコレクションに落とし込んだ。穏やかなムードながらも、個性にあふれたウェアが提案されている。
象徴的なのは、絵筆や絵具、身の回りの小物を収納できる仕様のベスト。平面的なポケットやフラップ付きポケットを備えた実用的な側面に加え、コーディネートのアクセントとしても活躍してくれそうだ。ネイビーのジャケットにカーキのベスト、ブラウン系のウェアにオレンジを合わせた差し色コーディネートのほか、画家の作業着のようにブラックで統一したルックも披露されている。
旅先の風景から色を抽出していく時の、パレットや試し描きを思わせるデザインもアイキャッチ。プリーツ地をたっぷりと使ったアシンメトリートップスや、ショート丈のオールインワンには調色する際の試し描きのようなプリントを配した。連続性のないランダムな色の配置と、動きのあるタッチが、手描きの感触を思わせる。加えて、様々な色がせめぎ合うようにのせられたパンツや、サッと味のあるタッチで描かれた単色のフルーツ柄パンツなども目を引いた。
また、様々な色を試していくうちに筆先にたくさんの色が重なっていく、自然なグラデーションをプリントで表現したウェアも遊び心あふれる仕上がりだ。たとえば、ゆったりとしたショールのようなアウターにはオレンジやイエロー、ブラウンなど暖色系の色彩が少しずつ混ざりながら重なっている様を見て取ることができる。セットアップは、筆先にかけて重なった色の濁りが増していく様子を色の濃淡で表現。奥行きのある表情に仕上げた。
衣服を持ち運ぶ時の収納に使う、ガーメントバッグを組み込んだレモンイエローのコートやミントブルーのジャケットは、旅から連想されたデザイン。旅の際に重宝する機能と大胆な遊び心を投影しており、着用しない時には折りたたんでガーメントバッグとしても使うことができる。
なお、オム プリッセ イッセイ ミヤケは、今回の「ピッティ・イマージネ・ウオモ」をはじめ、これまで訪れたことのない場所でブランドのクリエーションの成果を発表する取り組み「オープンステュディオ(OPEN STUDIO)」をスタート。今回の「オープンステュディオ」においては、プレゼンテーション形式でコレクションを発表するとともに、連動したエキシビションも行われた。