マックスマーラ(Max Mara)の2025年秋冬ウィメンズコレクションを紹介。
今季のインスピレーション源となったのは、イギリス・ヴィクトリア朝時代に活躍した女性作家、ブロンテ三姉妹の物語。中でも特に影響を受けたのが、長女シャーロット・ブロンテによる小説「ジェーン・エア」だ。
不遇な家庭に育った孤児のジェーン・エアが、家庭教師として訪れた家の主人と恋に落ち、自らの運命を切り開いていく──。そんな彼女を映すかのように、コレクションを通して意思の揺らがぬ逞しい女性像が表現されている。
秋冬シーズンに欠かせないアウターは、大きな襟が目を引くロングコートや、実用的なポケット付きのジャケット、温かみのあるブルゾンなど、多様なバリエーションを用意。クラシカルな英国スタイルを彷彿とさせるグレートコートは、構築的なカーブを描くショルダーラインやダブルブレストのディテールでミリタリー風にアレンジされた。
シルエットは、ボリュームのあるコート類に見られるような、重厚感のあるラインが中心。また、17〜18世紀のヨーロッパ貴族が着用していた“乗馬用ズボン”に着想を得た、マニッシュなパンツも印象的だ。膝にかけて柔らかくプリーツを施したワイドシルエットが、力強さとしなやかさを同時に演出。歩くたびに揺れる上品なドレープが、逞しさの中に漂うエレガンスを覗かせる。
一方で、ウエスト周りをきゅっと引き締めてメリハリをつけたベルトスタイルも。二重に巻くバックル付きのベルトは、パンツにはもちろん、タンクトップやニットウェア、さらにはキルティングコートやスタンドカラーコートなどのアウターにも合わせられ、コーディネートにタフなアクセントを添えた。
ダブルフェイスのウールや肌触りの良いカシミヤ、手織りのツイードといった素材は、機能的であると同時に柔らかな高級感を引き出す。タートルネックのトップスやタンクトップ、スカートなどに多用された厚手のリブニットは、身体に優しく沿いながらしっかりと暖かさを保ち、シンプルながらも素材の存在感が際立つピースとなった。