シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)2023-24年秋冬コレクションが発表された。
今季、デザイナーのシモーネ・ロシャは、故郷・アイルランドの秋の収穫祭「ルーナサ(Lughnasadh)」を出発点にした。夏至と秋分の中間にあたる、8月1日に執り行われるというこの伝統的な行事は、小麦と果実の収穫を祝うケルト文化の重要な儀式のひとつ。デザイナーにとっても大切な思い出を紡ぐように、ランウェイの上ではラフィアを使用したピースが、今季のコレクションのシンボルを担っている。
最も目を惹いたのは、ALLラフィアを使用した、マクラメ模様のドレスだ。ブランドらしいボリューミーなフォルムを踏襲しながら、高いクラフトマンシップを感じさせる繊細な網目模様で、ドレス全体を構築している。またチュールやレースを使用したロマンティックなドレスにも、ラフィアを融合。フォルムを象る要素として、アームやパニエに“詰め込んだ”斬新なスタイリングを披露した。
そんなプリミティブなムードが漂う今シーズンだが、同時にそれとは相反する華やかなファブリックが、アクセントとして加えられている。その好例となるのは、メタリックなゴールドで彩られたドレスやジャケット。本来ゴージャスなカラーではあるが、ファブリック全体に繊細なしわ加工を施すことで、自然な陰影を加えた上品な表情へと引き寄せている。
またブランド初のメンズコレクションを発表した2023年春夏シーズンに続き、今季も新作メンズウェアがランウェイに。ウィメンズから引き継ぐロマンティックなテキスタイルやシルエットを融合しながら、ミリタリーやテーラリングをベースにしたジャケットやパンツ、オーバーサイズのシャツなどが展開された。
なおコレクション全体には、6人のコラボレーターによって再解釈されたブランドロゴを採用。中でもグラフィックで表現したロゴは、クリーンな白シャツの上でひと際引き立てられ、ややストリートなムードへと引き寄せていた。