ザ ヴィリディアン(The Viridi-anne)の2023年秋冬コレクションが発表された。
今季のザ ヴィリディアンのキーモチーフとなるのが、「重複」だ。それはデザインのうえでのレイヤリングであり、またテイストのうえでの異種混淆性でもある。デザインのレイヤリングにおいては、たとえばダウンジャケットやアウトドアテイストのフード付きジャケットにはベストを重ね、合わせても別々でも着用できるよう仕上げている。
記憶もまた、ある種の積層だといえる。コレクションには、いわばデザイナー岡庭智明の足跡が反映されている。具体的には、1980年代のパンクやグランジのムードを反映し、柔らかなネル素材のテーラードジャケットやパンツなどにはタータンチェックを採用。あるいは厚みがありながらも軽快さを持つニットには、複数の編みを組み合わせ、糸のほつれを随所に添えている。
パンクな雰囲気をザ ヴィリディアンらしい重厚なウェアに反映させるひとつの例が、キルティングのパンツだ。トラッドなキルティングを施しつつも、バックにはボンテージパンツを彷彿とさせるファスナーをプラスし、ハードな表情をプラス。また、キルティングに難燃性のボアを組み合わせたリバーシブルジャケットを用意するなど、異なるテイストを重く、深みのある雰囲気に溶け合わせたアイテムを展開している。
カラーは、ブランドを象徴するブラックに加えて、レッドを軸に採用。ホースレザーブルゾンの艶やかな光沢を帯びた鮮やかさ、チェック柄ジャケットの温かみ、あるいは複数の編み地を組み合わせたニットの褪せたような表情など、レッドのなかでも幅広いグラデーションを持たせた。