ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の2022-23年秋冬コレクションは、ゴールドレーベル2001年秋冬コレクションより引用したテーマである“Wild Beauty”を掲げている。
象徴的なモチーフとして取り入れたのは、中国で強さ、勇気、悪を払う象徴である“虎”の要素。虎を彷彿とさせるストライプパターンやカラーリングだけでなく、大型のネコ科特有のしなやかさとエネルギーを落とし込み、そこにヴィヴァン・ウエストウッドのアイコニックなファブリックやシルエットを共存させている。
また、アートの要素も非常に重要。後期印象派の画家であるアンリ・ルソーは、虎を燃えるイメージとしてとらえ、熱帯嵐の中を徘徊する様子を作品に描いたが、コレクションの中では情熱的な赤でタイガーパターンがしなやかに体に沿うドレスとして提案されている。
セットアップにあしらわれた魔除けのシンボルである邪眼モチーフは、“色彩の魔術師”と称されるマティスの描く美しい女性と目と自身を参考に、ヴィヴィアン自身が描いたアートワークだ。ウィーンの美術史博物館に所蔵されているピーター・ブリューゲルの絵「カーニバルとレントの戦い」は、忠実に再現され、その絵画がもつ人間の生命力を感じられる。
ヴィヴィアン・ウエストウッドらしいグラマラスなアイテムはもちろん健在。虎のようなしなやかさを交えながら、アシンメトリーなドレスやパワーショルダーのジャケットなどが提案されてる。また、アイコニックなチェック柄は、クラシックなものからプリティブカラーのエネルギッシュなものまで多彩に展開されている。