ルール ロジェット(leur logette)の2021年春夏コレクションは「ザ ストーリー(THE STORY)」がテーマ。
かねてから糸やテキスタイルに並々ならぬこだわりを持ち、小さなストーンを組み合わせてオリジナルボタンを作るほど、手間暇かけた洋服作りを得意とするブランドだが、今季は「ザ ストーリー」をテーマに、ルール ロジェットの服作りの物語に改めて向き合う。人の手でしか作れないもの、こだわることで生まれる品質。愛情と責任をもって、1着1着デザインすることで生まれる、服への愛をキーワードに据えたシーズンだ。
例えば、Vネックのシンプルなカーディガンやクルーネックニットは、一見するとベーシックなデザインだが、素材へのこだわりとニットへの愛が深く感じられる一着だ。
世界最高級といわれるイタリア・カリアッジ社のカシミヤ糸から生まれたニットは、一度手にしてしまうと“他のニットには戻れない…”そんな感覚に陥るほど、しっとりやわらかなテクスチャーが特徴。コットンTシャツのようにハイゲージで編み込むことで、ニットであることを忘れさせるほど軽やかな着心地を叶えている。
これ1着でドラマティックな着こなしを叶えてくれる、フラワージャカードのドレスは、ルール ロジェットおなじみ、フランスのマリア・ケント社のファブリックを使用した。ブラック&ホワイトのシックな配色であるが、光沢のある糸を混ぜ込み立体感を作り出すことで、無彩色の世界に花の華麗さをもたらしている。
また、今季は、カットジャカードのグラデーションカラードレスや花模様のフリル付きドレス、ピュアな印象のホワイトドレスなど、キャミソールワンピースが充実。いずれも胸下またはウエスト下で切り替えた、ボリューム感のあるシルエットで、ふんわり女性らしいフォルムに整えている。
インナーにブラウスを差し込んだり、Tシャツとレイヤードさせたり…合わせるものによってシーズンレスで楽しめるのが、洋服を手にする側からすると心地よい。持ち主に渡った後、洋服たちが新たな物語が綴れるように…と愛情を込めて服作りに向き合っているのが感じられる。
自然や自由を愛するスピリットも大切にしたという今季は、豊かな自然の中を散歩しているような朗らかなカラーパレットも特徴的だ。新緑の季節を想起させるグリーンや、雲一つない青空を思わせるブルー、川沿いで満開に咲く桜をイメージさせるピンクなど、気分まで晴れやかになるカラーが揃っている。