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コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)がフランス・パリで発表した、2019-20年秋冬ウィメンズコレクション。
10シーズンに渡って芸術作品のようなショーピースをランウェイで披露してきた、川久保玲率いるコム デ ギャルソン。その長きに渡って続いた、ブランドのスタイルを大きく変化させたのが、昨シーズンの2019年春夏だった。それに次ぐ今季はまた新しいコム デ ギャルソンに出会える。これまでのような芸術ピースとも異なり、川久保が“静かなコレクション”と語った昨シーズンとも違うものだ。
ランウェイに登場するのは、身体に寄り添っているのに“洋服らしくない洋服”。ロングコートはボディラインに沿ったスリムなシルエットではあるが、前身頃、サイドがえぐれるように切り抜かれて防寒具としての役割は果たしていない。腕を通すアーム部分や首を通す穴は残っているものの、ボタンやベルトといったディテールは存在せず“筒状の何か新しいもの”に変わっている。
膝下丈のスカートは、腰の位置、左右に膨らんだ女性らしいシルエットなど、スカートの原型はあるものの、やはり下着を隠すという本来の役割は拭いとられ、アーチ状の穴が幾つも開けられ“穴のあいた何か”として登場している。
また、昨シーズン多用された、ブランドのロゴや数字、ローズなどのモチーフを散りばめたタトゥ風のボディスーツは姿を消し、代わって登場したのがメッシュやシースルーなどシアーな素材で仕立てられたボディスーツだ。肌を露わにするユニークな形状のスカートやコート、ジャケットなどの隙間からは、このボディスーツが顔を出している。
カラーパレットは、コム デ ギャルソンを象徴するブラックがほとんど。ファーストルックから中盤までは全身黒一色で統一したスタイルである。色を絞ることで際立ったのが、素材のコントラスト。シアー素材のボディスーツと対峙させるように、ツヤのあるレザー、暖かみのあるウール、光沢のあるベルベッドなど、表情のある素材がコンビネーションされている。
また、装飾類はバリエーション豊か。テキスタイルに散りばめられたハトメをはじめ、たっぷりのフリル、大きなリボンなど、様々なテイストの装飾が洋服の中に投じられている。甲冑のようなショルダー＆アームカバーやエンジェルのついたハーネスなど、パンチの効いたアクセサリーも起用されている。
