アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2016年9月29日(木)に発表された。
アン ドゥムメステールのモノクロームの世界。この静かな空間で今季生み出されたのは、前後左右不均衡なルックだ。ベースとなるのは、軽やかな素材、素朴なコットン・シャツ地で作られた、ジャケット、ロングコート、ゆとりのあるフルレングスパンツ、そしてクロップドパンツといったクラシックなアイテム。そこに豊かな発想を咲かせて、アブノーマルな物語を綴る。
部品となるアイテムは、バッグスタイルで真っ二つに裂いたジャケット、帯状にカッティングを入れたコート。前・後ろ身頃で素材を変えたものもある。そして、片腕が出るように解体されたシャツには、袖口に切れ端のようなパーツを添えた。
こうして出来上がったパーツは、コーディネートという名の組み立てを施した。インナーの上にアウターを羽織るという概念は飛び越え、思うがままに重ね合わせていく。シャツは前身頃をサイドに寄せて着こなし、コートは体にぐるっと巻き付け、本来の前後左右といったポジションは全て入れ替えた。シャツ地のコルセット、ゼッケン風のエプロン、、ワンショルダーのアームカバーは、良いデコレーションでより複雑で不可思議な世界へ。
しかし、この破壊と崩壊の連続の中にもフェミニニティは存在する。流れるようなリボンがどこからか飛び出し、パールのネックレスが首元を飾る。レースやチュールによる透け感やジャカードの光沢感もセンシュアルで、肌をちらりと覗かせるスリットもさりげなく色気を香らせる。