ミュベール(MUVEIL)の2026年春夏コレクションが発表された。
ミュベールの2026年春夏コレクションで思いを馳せたのは、ハプスブルク家最後のオーストリア皇妃・エリザベート。19世紀ヨーロッパ宮廷を代表するアイコンでもあり、最後まで自由を求め、宮廷の規範やしきたりに抗い続けた異質ともいえる存在だった。
そんなただの“お姫様”にとどまらなかったエリザベート皇妃は、デザイナーの中山路子にとっても現代にいてほしいなと感じた女性像であったそう。今季は、自ら道を切り開く揺るぎない強さを持つ、大人の女性のためのビターでロマンティックなコレクションを展開する。
目を惹くのは、エリザベートが愛したスミレの花モチーフ。1輪ずつ丁寧に刺繍し、ストライプ柄を完成させたオリジナルファブリックのジャケットとパンツ、ロングスカートが揃う。スミレ刺繍は、白い糸で刺繍した後、マッピングで刺繍糸のみに色をプリントすることで、水彩画のような表情を生み出した。
スモッキングによるこまかなひだがポイントのワンピースを彩るのは、色鮮やかなトワル ド ジュイプリント。乗馬が趣味のエリザベートが様々な地へ旅し、そこで見たであろう風景を描き出している。蛍光カラーのピンクやグリーン、ブルーを採用し、ネオクラシックな雰囲気に。
スポーティなルックを差し込むことで、ビターなテイストもプラス。それを象徴するのが、スポーツライクな生地にロマンティックなカットワークレースを施したスカートなど。シャカシャカと音がたちすぎないよう、ハリ感のある素材をあえてチョイスしている。
今季のボトムスは、大人の女性の抜け感を演出するややワイドなシルエットに。当時の宮廷で流行したプチポワン刺繍とネオンカラーのビーズを組み合わせたバーンジャケットとボトムスのセットアップは、特にカジュアルでリラクシングなムードが漂う。