ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)の2025年秋冬ウィメンズコレクションを紹介。テーマは「侵入するリボン」。
今季のヌメロ ヴェントゥーノは、装飾として用いられる“リボン”を、視覚的かつ構造的な要素として再定義。衣服のフォルムやボリュームに昇華し、リボンが紡ぐ新たな美意識を提示する。
たとえば、デコルテを大胆に開けたトップスやベアトップドレス、スカートでは、巨大なリボンが装いを支配。装飾の枠を超え、シルエットを構成する一部となった。
ウエストをきゅっと絞ったコートやニットにも、リボンのような造形美が見て取れる。ふくらみを持たせた肩や袖、広がる裾のラインが特徴で、服の構造に“侵入したリボン”は、女性らしく優雅な曲線を描き出す。
また今季のコレクションは、ソフィア・コッポラ監督の映画3作品──『ロスト・イン・トランスレーション』『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』──にインスパイアされているのもポイントだ。
『ロスト・イン・トランスレーション』に漂う“空白の美学”を象徴するかのように登場したのは、リトルブラックドレスの数々。デコルテラインに沿ってリボンをあしらったオフショルダードレスや、深いネックラインに大きなリボンを配したドレスなど、ミニマルかつ上品な肌見せを披露した。
思春期の危うい少女たちを描いた『ヴァージン・スーサイズ』からは、センシュアルなムードに加え、マスキュリンとフェミニン、ヘビーとライトといった相反する要素のコントラストを投影。透け感素材のワンピースにはゆったりとしたブルゾンを重ねたほか、オーバーサイズのダブルブレストコート、揺れ動くフェザーをあしらったオーガンジードレスなど、コレクション全体を通して多彩なスタイルと質感がミックスされている。
ブラックやグレーを基調としたカラーパレットにアクセントを添えたのは、『マリー・アントワネット』を思わせる軽やかな色使い。パステルピンクの丸襟シャツや、やわらかなイエローのコート、アイスグレーのニットなど、甘いお菓子のような遊び心のあるカラーを取り入れた。