サンローラン(Saint Laurent)の2025-26年秋冬コレクションを紹介。
アンソニー・ヴァカレロが手掛ける今季は、サンローラン創業当初に掲げていたミニマリズムへの敬意を表し、洗練されたシンプルなアイテムを提案。装飾主義ではなく、上質な生地と精密なパターンメイキング、カッティングを用いた、メゾンの“クワイエット・ラグジュアリー”を体現していく。
サンローランを象徴するのが、幅広く角ばったショルダーラインだ。マニッシュな印象の逆三角形シルエットのレーストップスやサテンシャツ、レザージャケットなどが、芯の強い女性像を描き出している。タフなトップスとバランスをとるように、ボトムスにはエレガントな膝丈のタイトスカートを合わせ、華美な装飾を用いずとも存在感を放つルックを展開した。
また、アニマルやフラワーといった“生命の躍動感”を宿したモチーフは、なめらかなシルク素材をシリコンでコーティング。ハードな手触りながら、光を反射する艶やかなビジュアルが目を惹く。ランウェイを通して、しなやかなレザーや独特の立体感あるレースの存在も目立った。ストーンウォッシュ加工によるヴィンテージ感ある素材や、伸縮性のあるテクニカルなファブリックも用いられている。
フェミニンなドレスルックもミニマリズムを再定義する。上半身は体躯に沿ったローウエスト、下半身は生地をたっぷり使ったバルーンスカートを組み合わせた。胸元に繊細なレースをあわせたシュミーズのようなキャミソールのデザインは、センシュアルなムードを引き立てる一方、レザーブルゾンとの組み合わせはマニッシュな女性像を覗かせる。
鮮やかなカラーパレットも今季ならでは。サンローランらしいブラックをはじめ、エメラルド、ダークブラウンやカーキ、キャメルといったベーシックカラーを主に採用しつつ、マスタードイエローのコートやエメラルドブルーのミニ丈ドレス、ロイヤルブルーのレースドレス、ビビッドピンクのハイネックワンピースなどが、ランウェイに大胆な彩りを与える。