ディオール(DIOR)は、2024-25年秋冬ウィメンズコレクションを2024年2月27日(火)に、フランス・パリのチュイルリー庭園にて発表した。
マリア・グラツィア・キウリ率いるディオールは今季、ファッションのクリエイティビティと自由で多元的なフェミニニティを追求。特に、フィリッペ・ギブルジェの手によってプレタポルテライン「ミス ディオール」が誕生した1967年当時のエキサイティングな時代に着目した。
女性の社会進出を背景に、60年代後半当時の既製服に求められたのは、再生産・量産のできるドレスと日々の暮らしにも適応できるデザインだった。そのため、体を締め付けることなくエレガントに見える、流れるような佇まいのウェアが考案された。マリア・グラツィア・キウリは、スタイルの過渡期ともいえるこの60年代後半を振り返りつつ、今現在と未来を結びつけるようにモダンなエッセンスを織り交ぜたウェアを提示する。
印象的なのは、60年代に新たなファッションとして提示された自由なスタイルを思わせる佇まいだ。ギャバジンの端正なコートやジャケットをまとったセットアップをはじめ、ノースリーブのワンピースやトップス、トレンチコートなど、いずれのアイテムもシンプルで締め付けのない、自由に動くことのできるシルエットが採用されている。テーラードジャケットやラップスカートには、再解釈された「MISS DIOR」のロゴシグネチャーを大胆にあしらい、遊び心を効かせつつアイコニックなルックに仕上げた。
さらに、ジャケットとミニスカートを組み合わせたスタイリングも60年代を思い起こさせる。テーラードジャケットや、ユニフォームライクなダブルブレストのジャケット、ボリュームのあるブルゾンにコンパクトなミニスカートをコーディネートしたルックが散見された。マニッシュなジャケットスタイルに、快活な女性らしさや軽やかさを加えている。
キーカラーとして、ショー会場内に装飾された、竹を編み込んだドレスのオブジェとも呼応するナチュラルなベージュがアウターやボトムスにフィーチャーされている。なお、オブジェはインド人アーティストのシャクンタラ・クルカーニによるものだ。また、竹の編み目を思わせるディテールも登場しており、ウィンドウペンチェックのノースリーブブラウスやパンツ、透かし彫りのような「カナージュ」モチーフのレザースカートが展開。同じく「カナージュ」をレザーエンボスで表現した、クラシカルなボックス型バッグにも注目だ。
シンプルなスタイルに施された、シャイニーな装飾が上品な華やかさを演出する。しなやかで直線的なブラックドレスのネックには繊細なクリスタルを飾り、シックな佇まいに。ブラックのコートやハットには金色に輝く装飾を連ね、パンプスにはゴールドカラーの球体ヒールをあしらうことでモダンさをプラスした。また、全面にビーズ刺繍を施したクチュールライクなセットアップやストーンのきらめくドレスも登場。特に、長めのフリンジが揺れ動くミニドレスは、細かく光を反射して眩いほどの輝きを放っている。